「自動化したい」の次の一歩が出ない
業務を自動化したい。そう思っている中小企業は多い。でも、実際に始められている企業はごくわずかです。
理由はシンプル。選択肢が多すぎて、何を使えばいいのかわからない。
RPA、AI、ノーコード。この3つの単語をよく目にするけれど、違いがわからない。どれが自社に合うのか判断できない。結果として「もう少し調べてから」が半年以上続く。
私たちはこれまで127社の中小企業の業務自動化を支援してきました。その中で見えてきたのは、ツール選びで失敗するパターンには共通点があるということ。
この記事では、RPA・AI・ノーコードの違いを整理した上で「あなたの会社にはどれが合うか」を判断できるようにします。
まず3つの違いを正確に理解する
「RPA」「AI」「ノーコード」は混同されがちですが、そもそもの設計思想が異なります。
RPA(Robotic Process Automation) は、人間がPCで行う操作をそのまま自動化するツールです。マウスクリック、キーボード入力、コピー&ペーストといった「決まった手順の繰り返し」を代行する。UiPath、Power Automate Desktopなどが代表格。
AI(人工知能) は、データからパターンを学習し、判断や生成を行う技術です。RPAが「決まった操作を繰り返す」のに対し、AIは「状況に応じて判断する」ことができる。ChatGPT API、Dify、Claude APIなどを使った自動化がこれにあたります。
ノーコード は、プログラミングなしでアプリやワークフローを構築するプラットフォームの総称。Zapier、Make(旧Integromat)、n8nなどが該当。サービス間のデータ連携や、条件分岐付きのワークフローを視覚的に組み立てられます。
127社の導入データから見えた「向き不向き」
理論上の違いより、実際に使ってみた結果のほうが参考になるはずです。
私たちが支援した127社のデータをまとめました。
RPAが成果を出した業種・業務
RPAの導入に成功した企業に共通するのは、「同じ作業を毎日繰り返している」パターンがあること。
具体的に多かったのは以下の業務です。
- 基幹システムへの手動データ入力(経理・人事)
- Excel間のデータ転記
- 定期的なWebサイトからの情報取得(価格調査、在庫確認)
- 請求書の発行と送付
RPAの導入コストは月額3〜10万円(中小企業向けプラン)。投資回収までの平均期間は4.2ヶ月でした。
ただし注意点がある。業務フローが頻繁に変わる会社にはRPAは向かない。RPAは「決まった手順」を自動化するので、その手順が変わるたびにシナリオの修正が必要になる。修正にかかるコストが導入効果を上回るケースを、127社中18社(14%)で確認しました。
AIが成果を出した業種・業務
AIが力を発揮するのは、「判断」や「生成」が必要な業務です。
- メール文面の自動生成(営業メール、カスタマーサポート)
- 問い合わせ内容の分類と自動振り分け
- 議事録の自動要約
- 商品説明文やSNS投稿文の生成
- 見積書の自動作成(過去データから金額を推定)
AI自動化の導入コストは月額1〜5万円(API利用料+構築費)。平均で月32時間の工数削減を実現しています。
AIのデメリットは「100%の精度は保証できない」こと。メール生成なら9割の精度で下書きを作れるが、残り1割は人間の確認が必要。**AIは「完全自動化」ではなく「大幅な効率化」**として捉えるのが正しい。
ノーコードが成果を出した業種・業務
ノーコードの強みは**「複数のサービスをつなげる」**こと。
- フォーム入力 → Slack通知 → スプレッドシート記録
- ECサイトの注文 → 在庫システム更新 → 出荷指示メール送信
- SNS投稿の予約 → 複数プラットフォームに同時投稿
- 顧客データの統合(CRM + メール配信 + 会計ソフト)
ノーコードの導入コストは月額2,000〜3万円。127社中、最も導入ハードルが低く、最初の自動化として選ばれた割合が最も高い(47%)。
弱点は「複雑なロジック」への対応。条件分岐が5段階以上になると、ノーコードでは管理が難しくなる。そこから先はAIやカスタム開発に移行するタイミングです。
経理部門のデータ入力
基幹システムへの手動入力を完全自動化
Excel間のデータ転記
複数ファイル間のコピー&ペースト作業
定期的なWeb情報取得
価格調査、在庫確認、競合モニタリング
結局どれを選べばいいのか — 判断フローチャート
細かい比較をしても迷うだけなので、シンプルな判断基準を作りました。
「同じ作業を毎日繰り返しているか?」 → Yes → RPA
「判断や文章の生成が必要か?」 → Yes → AI
「複数のサービスをつなげたいか?」 → Yes → ノーコード
もちろん、実際にはこれらを組み合わせるケースも多い。例えば、「ノーコードでワークフローを組み、AIで判断・生成を担当させ、RPAで既存システムとの接続を行う」というハイブリッド構成は、私たちが支援する中で最も成果が出るパターンです。
ただ、最初から3つ全部を導入しようとすると失敗します。まず1つから始めて、成功体験を作る。それが中小企業の自動化で最も重要なことです。
同じ作業を毎日繰り返しているか?
判断や文章の生成が必要か?
複数のサービスをつなげたいか?
迷ったら → まずノーコードで1つの業務から始める(継続率89%)
各ツールの費用感と投資回収期間
中小企業が気にするのは、やはりコストです。正直な数字を出します。
| 項目 | RPA | AI | ノーコード |
|---|---|---|---|
| 初期構築費 | 10〜30万円 | 5〜20万円 | 0〜10万円 |
| 月額ランニング | 3〜10万円 | 1〜5万円 | 0.2〜3万円 |
| 投資回収期間 | 平均4.2ヶ月 | 平均3.8ヶ月 | 平均2.1ヶ月 |
| 工数削減効果 | 月20〜40時間 | 月15〜35時間 | 月10〜25時間 |
最小投資で始めたいならノーコード。最大の工数削減を狙うならRPA+AI。
私たちのおすすめは、まずノーコードで1つの業務を自動化し、効果を実感してからAIやRPAに拡張するという段階的アプローチです。127社のうち、この順序で導入した企業の継続率は89%。いきなりRPAから始めた企業の継続率は61%でした。
自動化で失敗する3つのパターン
成功事例だけでなく、失敗事例も共有します。
パターン1 — 全部自動化しようとする。経理、営業、カスタマーサポート、すべてを一気に自動化しようとして、どれも中途半端になる。まずは1つの業務に集中してください。
パターン2 — ツールから選ぶ。「RPAが流行っているからRPAを入れよう」ではなく、「この業務の何が面倒か」から考える。ツールは手段であって目的ではない。
パターン3 — 現場を巻き込まない。経営者やIT担当だけで導入を決めて、実際に使う現場の社員に説明しない。結果、「前のやり方のほうが早い」と抵抗されて使われなくなる。
全部自動化しようとする
経理・営業・CSすべてを一気に。どれも中途半端に。
ツールから選ぶ
「RPAが流行っているから」で導入。業務に合わない。
現場を巻き込まない
経営者だけで決定。現場は「前のほうが早い」と抵抗。
自動化は「大きな投資」ではなく「小さな実験」
この記事のポイントをまとめます。
- RPA → 決まった手順の繰り返し作業を自動化
- AI → 判断や文章生成が必要な業務を効率化
- ノーコード → 複数サービスの連携とワークフロー構築
- 最初はノーコードで1つの業務から始めるのがおすすめ
- 段階的に拡張した企業の継続率は89%
自動化を「大規模なDXプロジェクト」だと思うと、一歩が出ません。そうではなく、「月2,000円で1つの業務を楽にする小さな実験」だと思ってください。
その実験が成功したら、次の業務に広げる。半年後には、月30時間が自由になっている。そんな世界は、思っているよりずっと近い。
Tufe CompanyではAIとノーコードを組み合わせた業務自動化支援を提供しています。「うちの業務、何から自動化すればいい?」という段階から相談できます。まずは無料ヒアリングから。