リニューアルして問い合わせが減った会社の話
コーポレートサイトのリニューアルでよく起きる事故があります。デザインは一新され、見た目は格段にきれいになった。しかし公開後、問い合わせや流入が逆に減ってしまう、というケースです。
典型的な原因の一つが、URL設計の見落としです。リニューアルで製品ページなどのURLが変わったのに、旧URLから新URLへのリダイレクトが設定されていない。すると検索上位だったページの評価が新URLに引き継がれず、オーガニック流入を失います。Google の公式ドキュメントも「ページのURLを検索結果に表示される形で変更する必要がある場合は、可能な限り恒久的なサーバーサイドリダイレクト(301)を使うことを推奨する」と明言しています。リダイレクトを設定しないと、旧URLが検索結果に残り続け、流入が新旧で分散してしまいます。
※ 出典: Redirects and Google Search(Google Search Central)(取得 2026-06)
このようなケースは珍しくありません。サイト移行やURL変更にともなう流入減はSEOの世界で繰り返し報告されてきた失敗パターンで、成功と失敗を分けるのは、制作工程ではなくプロジェクト設計です。
リニューアル成功のロードマップ — 5フェーズ
リニューアルのロードマップは5フェーズ構成で考えると整理しやすく、中規模サイトなら全体で4〜5ヶ月を見込むのが一般的な目安です。
最も重要なのがフェーズ1の「現状分析・要件定義」。ここを2週間で済ませるか、3週間かけて徹底するかで、プロジェクト全体の品質が変わります。
要件定義が曖昧なまま着手すると、後工程で仕様が膨らみ、スケジュールが押す原因になります。プロジェクトマネジメント協会(PMI)の調査では、約52%のプロジェクトでスコープクリープ(要件の後追い拡大)が発生したと報告されています。要件を最初に固めるほど、この後追いの拡大を抑えられます。急がば回れ、はリニューアルの鉄則です。
※ 出典: PMI Pulse of the Profession(2018)— Project Management Academy 集計(取得 2026-06)
リニューアルでよくある5つの失敗
リニューアルの現場で繰り返し見られる失敗パターンを5つ紹介します。
「デザインだけリニューアル」は最も多い失敗です。見た目を変えても、サイト構造や導線が旧サイトのままなら、ユーザー体験は変わらない。問い合わせ数も変わりません。
「コンテンツの移行漏れ」も深刻。旧サイトで月間3,000PVを稼いでいたページが404になると、その流入はゼロになります。リダイレクトマップの作成は、デザイン着手前に完了させるべきです。
「社内合意プロセスの軽視」も見落とされがちなポイント。経営層・営業・採用・広報など、ステークホルダーの要望はデザイン着手前にヒアリングしてください。デザインが出来上がってから「やっぱり変えたい」が出ると、手戻りで工期が大きく延びます。前述のとおりスコープクリープは約半数のプロジェクトで起きており(PMI調査)、その多くは要件・関係者の合意が曖昧なまま進んだことが引き金です。
※ 出典: PMI Pulse of the Profession(2018)— Project Management Academy 集計(取得 2026-06)
プロジェクトタイムラインの具体例
「リニューアルにはどのくらいの期間がかかるのか」は最もよく聞かれる質問です。
小規模サイト(10〜30ページ)なら2〜3ヶ月。中規模サイト(30〜100ページ)なら4〜6ヶ月が目安です。100ページを超える大規模サイトは6ヶ月〜1年以上を見込んでください。一般にコーポレートサイトのリニューアルは規模により3〜6ヶ月程度が目安とされ、大規模・要件が多い案件ほど長くなります。
※ 出典: コーポレートサイトリニューアルの進め方(クーミル)(取得 2026-06)
以下は中規模サイト(50ページ程度)のタイムライン例です。
各月の成果物を明確にすることで、進捗の可視化と社内報告が容易になります。月末にマイルストーンレビューを実施し、次月の計画を調整していくと、進捗のズレを早めに吸収できます。
リニューアル前チェックリスト
リニューアルプロジェクトを始める前に、以下を確認してください。
まとめ — 成功するリニューアルは設計で決まる
コーポレートサイトリニューアルの成否は、デザインの良し悪しではなくプロジェクト設計で決まります。
- 要件定義に最低3週間を確保する
- 旧URLのリダイレクトマップを事前に作成する
- ステークホルダーヒアリングをデザイン着手前に完了させる
- 公開後の運用体制を公開前に決める
- 3ヶ月後にアクセスデータを検証し改善サイクルを回す
リニューアルは「公開して終わり」ではなく「公開してからが本番」です。公開後にデータを見ながら継続的に改善した事例として、HubSpot は自社サイトの再設計と継続的なCRO(改善実験)により、新しい「Get Started」フローでサイトのコンバージョン率を2倍にし、製品サインアップを総量で27%増やしたと公表しています。デザインを一新して終わりにせず、公開後に定期的なデータレビューと改善を回すことが成果につながります。
※ 出典: How Redesigning HubSpot's Website Doubled Conversion Rates(HubSpot)(取得 2026-06)
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