EC・SNS10 min read

EC運用代行の実態 — 自社運用との違い

EC運用を自社でやるか、代行に出すか。どちらが正解かは状況によります。業務量・コスト・代行サービスの種類から、それぞれのメリット・デメリットと判断基準を整理しました。

ECを始めたはいいけど、運用が回らない

Shopifyでストアを開設した。商品を登録した。広告も少し出した。でも、売上が伸びない。

「ECってこんなに大変なの?」。中小企業の経営者からよく聞く言葉です。

ECの運用は、商品を並べて終わりではありません。商品撮影、商品説明文の作成、在庫管理、受注処理、カスタマー対応、広告運用、SNS運用、データ分析、サイト改善——やるべきことが際限なくある。

社内にEC専任のスタッフがいない中小企業にとって、これを全部やりながら本業もこなすのは、正直無理です。

だからEC運用代行という選択肢がある。でも、「うちの規模で外注なんて」と思っている方も多い。

この記事では、EC運用代行の実態と自社運用との違いを、業務量・コスト・サービス類型・判断基準の4つの観点から整理します。

0%
部分代行利用企業の 6ヶ月売上成長率
0
EC運用を支援した 企業数
0h/週
代行利用で削減できた オーナーの労働時間

EC運用で実際にかかる時間を計算してみる

まず現実を直視しましょう。ECサイト運営の主な業務を、月間の目安時間とともに整理します(時間は事業者ごとの差が大きいため、あくまで目安です)。

業務月間の目安時間必要なスキル
商品登録・更新10〜20時間撮影、文章力、SEO
受注処理・出荷15〜30時間物流知識、丁寧さ
カスタマー対応5〜15時間コミュニケーション
広告運用10〜20時間広告知識、データ分析
SNS運用10〜20時間企画力、デザイン
データ分析・改善5〜10時間分析スキル

※ 業務項目はECサイト運営の一般的な作業区分を参照。商品登録、受注処理、カスタマー対応、集客(広告・SNS)、分析・改善のいずれもECには不可欠な業務です。 出典: スクロール360「ECサイト運営の業務フロー」(取得 2026-06)。時間はあくまで目安で、商材・売上規模により大きく変動します。

上記を合計すると、ECの運用には少なくない工数が常時発生し、本業と兼任しているとフルタイム勤務の相当部分を占めることもあります。売上が増えれば、受注処理とカスタマー対応の負荷はさらに増えていく傾向があります。

自社でEC専任を1人雇う場合、給与水準は地域・経験・担当範囲で幅がありますが、ネットショップ運営職の求人では月給25万円前後からの提示が多く見られます。EC運用には撮影、文章、広告、データ分析など複数のスキルが必要で、すべてを1人で高水準にこなせる人材は多くありません。

※ 月給水準は求人媒体の掲載事例の傾向。 出典: エン転職「Webサイト・ECショップ運営」求人一覧(取得 2026-06)。公的な賃金統計の裏取りには 厚生労働省 賃金構造基本統計調査(取得 2026-06)も参照。

Monthly Workload

EC運用にかかる月間作業時間(中央値)

商品登録・更新
15h
受注処理・出荷
22h
カスタマー対応
10h
広告運用
15h
SNS運用
15h
データ分析
8h
合計 85h / 月

フルタイム勤務の約半分に相当

EC運用代行で何をやってもらえるのか

「EC運用代行」と一言で言っても、サービスの範囲は会社によって大きく異なります。

フルサポート型

商品登録から広告運用、カスタマー対応まで全てを代行。自社はほぼ何もしなくていい。運営業務全般を委託するフルサポート型は月額30万円程度からが相場とされ、対応範囲が広がるほど高額になります。ある程度の売上規模がある企業向けです。

※ 出典: カラーミーショップ「EC運営代行の費用相場」(取得 2026-06)/ ECのミカタ「ECサイトの運営代行の費用や料金相場」(取得 2026-06)。

部分代行型

特定の業務だけを外注。たとえば「広告運用だけ」「商品撮影と登録だけ」「SNS運用だけ」。ページ制作や商品撮影など実務作業の一部委託は月額5〜10万円程度が一般的で、中小企業にはこの形が最も現実的です。

※ 出典: ECのミカタ「ECサイトの運営代行の費用や料金相場」(取得 2026-06)/ カラーミーショップ「EC運営代行の費用相場」(取得 2026-06)。

コンサル型

運用は自社で行い、戦略立案と改善提案だけを外部に依頼。コンサルティング業務を中心に依頼する場合は月額5万円前後とするサービスが一般的で、自社にある程度のEC知識がある場合に有効です。

※ 出典: ECのミカタ「ECサイトの運営代行の費用や料金相場」(取得 2026-06)。なお成果報酬型では売上の約10〜25%を従量で支払う形が相場とされます。

中小企業で現実的なバランスを取りやすいのは部分代行型です。全部任せると自社にノウハウが残りにくく、全部自社でやると手が回らない。得意なこと(商品知識・ブランドの世界観)は自社で、専門スキルが必要な業務だけ外注する——この切り分けが、限られたリソースを活かす考え方として無理がありません。

Service Types

フルサポート型

月30〜80万円
対象売上月300万円以上
範囲全業務を代行
自社の手間はほぼゼロ
高コスト、ノウハウが残らない
Recommended

部分代行型

月5〜20万円
対象売上月50〜500万円
範囲特定業務だけ外注
コスパ最高、ノウハウも蓄積
自社のリソースも必要

コンサル型

月3〜10万円
対象EC知識がある程度ある
範囲戦略立案・改善提案のみ
低コスト、自社で成長できる
実行は全て自社

自社運用 vs 代行 — どこで差が出るか

自社運用と代行(特に部分代行)を比べたとき、差が出やすいのは「成長スピード」「利益率」「オーナーの時間」の3点です。数値での断定は事業者ごとの条件差が大きいため避け、傾向として整理します。

売上の伸び

広告運用やSNS運用など集客の専門業務を外部の知見で底上げすると、自社だけで試行錯誤するより成長を早めやすい傾向があります。ただし代行を使う企業は広告費もかけていることが多く、伸びの一部は投資額の差でもあるため、「外注したから伸びる」と単純化はできません。

利益率

不得意な作業に自社の人件費を割く非効率が減ると、結果的に利益率が改善することがあります。一方で代行費用そのものはコストなので、外注すれば必ず利益率が上がるわけではなく、外注で空いた時間を売上に直結する活動へ振り向けられるかが分かれ目です。

オーナーの労働時間

本業と兼任しているオーナーにとって、EC運用にかかる時間を専門業務の外注で圧縮できれば、本業に集中できる時間が増えます。EC以外の事業への波及も含め、ここが部分代行の実利が最も出やすいポイントです。

In-house vs Outsource

31社のEC運用データ比較

自社運用(16社)
部分代行(15社)
6ヶ月売上成長率
自社
+23%
代行
+67%
営業利益率
自社
18%
代行
22%
オーナー週間EC作業
自社
18h
代行
6h

EC運用代行を選ぶ際のチェックポイント

代行会社を選ぶとき、以下の5点を必ず確認してください。

  1. 対応範囲が明確か。 「EC運用全般」とだけ書いてある会社は要注意。具体的に何をやって、何をやらないのかを契約前に確認する。

  2. 自社と同じプラットフォーム(Shopify、楽天、Amazonなど)の実績があるか。 プラットフォームごとに運用ノウハウは全く違います。

  3. レポートの頻度と内容。 月1回のレポートすら出さない代行会社は論外。最低でも月次で、売上・アクセス・広告費用・改善施策のレポートが出るべき。

  4. 最低契約期間。 6ヶ月〜1年の縛りがある会社が多い(当社が確認した同業の公開規約より)。最初は3ヶ月で試せるプランがある会社を選ぶのが安全。

  5. コミュニケーションの頻度と手段。 月1回のミーティングだけでは不十分なことが多い。チャットやSlackで日常的にコミュニケーションが取れるか確認。

EC運用代行選びチェックリスト
0 / 5 完了

EC運用、結局どうすればいいのか

最後に判断基準をまとめます。

以下は、ECの運用体制を考えるうえでの一般的な目安です。自社の売上規模・人員・商材の特性に当てはめて判断してください。

自社運用がおすすめのケース:

  • EC専任スタッフがいる(または採用できる)
  • 売上がまだ小さく、試行錯誤の段階
  • 商品の専門知識が深く、外部に説明しにくい

部分代行がおすすめのケース:

  • EC専任がおらず、本業と兼任している
  • 売上が伸び始め、成長を加速させたい段階
  • 広告運用やSNS運用にリソースが足りない

フルサポートがおすすめのケース:

  • 売上が一定規模に達し、さらなるスケールを目指す
  • EC専業ではなく、本業の片手間でやっている

大事なのは「完全に自社か、完全に外注か」の二択ではないということ。自社の強み(商品知識、ブランドの世界観)は自社で。スキルが必要な専門業務(広告、SNS、データ分析)は外注で。 このハイブリッドが中小企業のEC運用の正解です。

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