Claude Enterprise を使う会社の情報システム部門、または導入を検討している会社の担当者に向けた記事です。2026年10月20日、Anthropic は Enterprise 向けの「Inference hooks(推論フック)」をベータから正式提供に切り替えました。社員が送るプロンプトを、モデルに届く前に自社の検査サーバーで止められる仕組みです。
この記事では、公式ドキュメント3本とリリースノートをもとに、仕組み・対象範囲・設定項目を整理し、導入前に情シスが決めておく5つの判断、セルフチェック12項目、失敗パターン、設定値の記入テンプレをまとめます。自社で検査サーバーを建てるか、DLP ベンダーに任せるかの判断材料にもなります。
結論 — 先に要点だけ
- Inference hooks は Claude Enterprise 専用の「送信前検査」です。 社員のプロンプトを Anthropic が自社指定の HTTPS サーバーに送り、allow か deny の判定が返るまで推論を待ちます。deny されたリクエストはモデルに届きません。
- 2026年8月5日にベータ開始、10月20日に正式提供になりました。 対象は claude.ai・Cowork・Claude Code・Claude for Microsoft 365・Claude Tag・Claude in Chrome など組織内の全製品で、Bedrock・Vertex AI 上の Claude と API 利用は対象外です。
- 最初に決めるのは「失敗時に止めるか通すか」です。 検査サーバーが応答しないときの扱いは設定で選び、初回保存時の既定は「通す(Allow the request)」と 5,000ms です。既定のまま運用すると、障害時はプロンプトが検査なしで通ります。
- 段階導入の道具が揃っています。 Shadow mode(判定は返るが何も止めない)、検査割合(0〜100%)、カスタムロールの除外、の3つで「初日から誰もブロックしない」導入ができます。
- Compliance API とは役割が違います。 Inference hooks は推論の前に止める仕組み、Compliance API は後から記録を取り出す仕組みです。拒否・設定変更・ブレーカー作動は Compliance API の活動フィードに記録されます。
※ 出典: Claude Docs — Inference hooks(取得 2026-10)/ Claude Docs — Configure Inference hooks(取得 2026-10)
何が変わったか — ベータから正式提供までの経緯
リリースノートの記述を時系列で並べます。
| 日付 | 内容(リリースノートの要約) |
|---|---|
| 2026年8月5日 | Inference hooks が Claude Enterprise 組織向けにベータ開始。claude.ai・Cowork・Claude Code の各プロンプトを自社の AI セキュリティサーバーの判定で保留。リクエストは署名付き、失敗時の扱いは設定可能、拒否は活動フィードに記録 |
| 2026年10月20日 | Inference hooks が Claude Enterprise 組織向けにベータ終了(正式提供) |
※ 出典: Claude Docs — Release notes(取得 2026-10)
ベータ開始時の対象は claude.ai・Cowork・Claude Code の3つでしたが、現在の公式ドキュメントは「組織内のすべての Claude 製品」とし、Claude for Microsoft 365・Claude Tag・Claude in Chrome を例示しています。既存の記事「Claude のコネクタ(MCP)を社内ツールにつなぐ前に管理者が決める6つのこと」ではベータ時点の情報として一段落だけ触れていたため、本記事で全体を整理し直します。
仕組み — 推論の前に自社サーバーが判定する
公式ドキュメントが説明する流れは次の4段階です。
- 社員が対象製品でプロンプトを送る
- Anthropic が、組織が設定した HTTPS エンドポイントに
POSTを送る。本文は会話の書き起こし全体で、組織が署名シークレットを生成していれば Standard Webhooks 仕様の署名が付く - 自社の AI セキュリティサーバーが内容を評価し、設定したタイムアウト内(既定 5秒)に判定を返す
allowなら推論に進む。denyならリクエストは拒否され、社員にはサーバーが返した理由と管理者が設定した定型文を組み合わせたメッセージが表示される。拒否は活動フィードに記録される
※ 出典: Claude Docs — Inference hooks(取得 2026-10)
フックは Anthropic 側のサーバーで動くため、社員の端末に何かを入れる必要はなく、Web・デスクトップ・モバイル・CLI・Slack のどこから使っても同じ検査が掛かります。
フックのイベントは2種類あります。
| イベント | 送られるタイミング | 備考 |
|---|---|---|
prompt | 対象の推論リクエストごとに1回、推論の前 | 常に送られる |
tool_call | Claude の応答にツール呼び出しが含まれるとき、実行の前 | 「Validate tool calls」が有効な組織のみ。1回の判定が応答内の全ツール呼び出しをまとめて対象にする |
※ 出典: Claude Docs — Develop an Inference hooks integration(取得 2026-10)
検査サーバーに送られるもの・送られないもの
| 送られる | 送られない |
|---|---|
| 書き起こしのテキスト、ツール呼び出しとその結果、添付ファイルから抽出したテキスト、過去のターン | システムプロンプト、ツール定義、Anthropic 内部のコンテキスト、Claude の非表示の推論、ファイル・画像の生バイト |
画像だけの内容(文書のスクリーンショットなど)は検査されない、判定は allow か deny の二択で書き換えや伏せ字はできない、という2点が公式の「現在の制限」に挙がっています。また Inference hooks 自体はプロンプトや回答の本文を持たず、保存するのは設定と判定・時刻・リクエスト識別子などのメタデータだけです。
※ 出典: Claude Docs — Inference hooks(取得 2026-10)
対象範囲 — どの契約・どの製品で使えるか
| 項目 | 公式ドキュメントの記述 |
|---|---|
| 契約 | Claude Enterprise 組織のみ |
| 設定できる人 | organization:manage 権限を持つ Owner と Primary owner。Admin ロールは不可 |
| 対象製品 | 組織内の全 Claude 製品。claude.ai・Cowork・Claude Code・Claude for Microsoft 365・Claude Tag・Claude in Chrome など |
| 対象外 | Amazon Bedrock・Google Cloud 上の Claude、Claude Platform 経由の API 利用 |
| 対象にならない呼び出し | Claude Security のホスト型スキャン、GitHub 上で動く Code Review、Smart reports の生成。いずれも Anthropic 側のモデル呼び出しで、書き起こしは組織に見えない |
※ 出典: Claude Docs — Inference hooks(取得 2026-10)
音声モードにも注意があります。プロンプトとツール呼び出しは送られるものの「一部のツール呼び出しは送られない」ため、音声の統制を Inference hooks だけに頼らないよう公式が書いています。音声モードで deny されると通話は一般的なエラーで終わり、拒否理由は表示されません。
Bedrock 経由で Claude Code を配っている会社は、そのままでは対象になりません。経路の整理は「Claude Code の法人導入ガイド」と「Claude 法人導入 完全ガイド 2026」を参照してください。
情シスが先に決める5つのこと
決めること1 — 失敗時に「止める」か「通す」か
検査サーバーが到達不能・エラー・タイムアウトのとき、どちらにするかを「Failure handling」で選びます。
| 選択肢 | 動作 |
|---|---|
| Block the request | 判定が得られなければ推論を止める(fail closed) |
| Allow the request | 検査なしでモデルに通す(fail open) |
初回保存時の既定は「Allow the request」と 5,000ms です。タイムアウトは 1〜10,000ms の範囲で設定でき、接続・TLS ハンドシェイク・リクエスト・応答のすべてを含む予算なので、「自社サーバーが安定して守れる最小値」を公式は勧めています。
※ 出典: Claude Docs — Configure Inference hooks(取得 2026-10)
障害が続くとサーキットブレーカーが作動し、Anthropic は検査サーバーへの接続を止めて、全リクエストに失敗時の設定を適用します。「Block」を選んでいれば、ブレーカーが戻るまで組織の社員は Claude を使えません。作動すると管理者に claude.ai の通知センターで知らされ、活動フィードにも inference_hooks_circuit_breaker_tripped として記録されます。自動復旧の確認は作動の10分後から、1分に1回程度のテストリクエストで行われ、有効な判定が返ればブレーカーは自動で戻ります。ただし作動後に設定を1つでも変えると自動確認は止まります。
※ 出典: Claude Docs — Configure Inference hooks(取得 2026-10)
判断の軸は「Claude が止まる損失」と「検査なしで通る損失」のどちらを取るかです。機密区分の高い部門だけ Block にしたい場合は、公式の設定画面にある Mode は組織で1つなので、ロール除外(決めること3)と組み合わせて考えます。
決めること2 — 段階導入の順番
公式は「初日から誰もブロックされなくてよい」設計として、次の3つを用意しています。
| 道具 | 内容 |
|---|---|
| Shadow mode | 検査サーバーに本番トラフィックを送り判定を返させるが、何も止めない。deny でも到達不能でも通る。設定ページに「Shadow mode — not blocking」バッジが出る |
| Requests inspected(%) | 検査するリクエストの割合。0〜100% で、100 が全量、0 が検査停止。会話ターンごとに1回抽選され、外れたリクエストは Block 設定でも検査なしで通る |
| Exclusions | 組織が作ったカスタムロールのメンバーを対象外にする。組み込みロールは選べない |
※ 出典: Claude Docs — Configure Inference hooks(取得 2026-10)
「Enforce verdicts」を入れるまでは検査サーバーに何も送られず、入れると約1分で全サーバーに反映されます。「Validate tool calls」は新規設定では既定で有効で、Shadow mode でもツール呼び出しのフレームが送られます(止まりはしません)。
推奨する順番は、Shadow mode で全量を観察 → 判定の誤りを直す → Mode を Block か Allow に切り替え、割合を小さく始めて 100% へ、です。公式も「本番トラフィックに対してポリシーを調整してから強制する」用途として Shadow mode を位置付けています。
決めること3 — 誰を除外するか
除外はカスタムロール単位で、除外されたメンバーのプロンプトは検査サーバーに送られません。除外リストの変更は活動フィードに rbac_role_permission_added / rbac_role_permission_removed として記録され、変更には ID 管理の権限が必要です。
「役員だけ除外」「情シスだけ除外」のような運用は可能ですが、除外した人の操作は一切検査されない点を、社内規程に明記しておく必要があります。生成 AI の社内規程の作り方は「生成 AI の社内利用ガイドラインの作り方」にテンプレがあります。
決めること4 — 拒否されたとき社員に何を見せるか
社員に表示されるメッセージは、検査サーバーが返す deny_reason(最大500文字、超過は切り詰め)と、管理者が設定する定型文(最大500文字)を空行でつないだものです。定型文を設定しなければ「管理者に連絡してください」という既定文が付き、定型文を切って deny_reason だけにもできます。
※ 出典: Claude Docs — Configure Inference hooks(取得 2026-10)
重要なのは「拒否された後、社員がどう会話を続けるか」です。各リクエストには会話全体が含まれるため、拒否された内容を消さない限り、以後のメッセージも拒否され続けます。公式が示す対処はアプリごとに違います。
| アプリ | 続け方 |
|---|---|
| claude.ai(デスクトップ・モバイル含む) | 拒否されたメッセージ(またはそれ以前)を編集して送り直す。添付は編集時に再送されるので外す。新しいチャットでもよい |
| Claude Code | /rewind で内容を持ち込んだプロンプトを選び、Restore conversation のうえ編集。/clear で最初から |
| Cowork | 最新のメッセージなら編集。ファイルや前のメッセージにあるなら New task |
| Claude Tag(Slack) | 拒否されたメッセージを編集または削除し、@Claude !restart を送る |
※ 出典: Claude Docs — Inference hooks(取得 2026-10)
この表をそのまま社内ヘルプデスクの FAQ に載せておくと、拒否直後の問い合わせが減ります。deny_reason も「何を消せば通るか」を書く文面にするよう、公式は勧めています。
決めること5 — 検査サーバーを自社で建てるか、ベンダーに任せるか
検査サーバー側の要件は明確です。公式の統合ガイドに書かれている内容を表にまとめます。
※ 出典: Claude Docs — Develop an Inference hooks integration(取得 2026-10)
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 署名 | Standard Webhooks 仕様。webhook-id・webhook-timestamp・webhook-signature の3ヘッダー、HMAC-SHA256。タイムスタンプが自サーバーの時刻から5分以上ずれていれば拒否 |
| URL | https:// でポート 443、リダイレクトなし、公開 CA で検証できる証明書 |
| ホスト | 公開ルーティング可能な IPv4 アドレスが必要。private・loopback・CGNAT・IPv6 のみ・localhost は拒否。ngrok などのトンネルは Anthropic のネットワークポリシーで遮断 |
| 送信元 IP | 160.79.106.0/24。署名検証の代わりにはならない |
| 本文サイズ | 書き起こしは切り詰めずに送られ、プロトコル上は最大 64 MiB。実際はモデルのコンテキストにより約 10 MB 未満が多い |
| 応答 | HTTP 200 と JSON の判定。非 200 は deny ではなく「失敗」扱い。応答本文は 64 KiB まで |
| 再試行 | 接続失敗時のみ 100ms 後に1回だけ。同じタイムアウト予算・同じ webhook-id |
| 認証ヘッダー | 静的なカスタムヘッダーを最大16個。値は暗号化保存で再表示されず、URL を変えると全部消える |
※ 出典: Claude Docs — Develop an Inference hooks integration(取得 2026-10)/ Claude Docs — Configure Inference hooks(取得 2026-10)
本文サイズは見落としやすい点です。公式は nginx の client_max_body_size 既定 1 MB、Express の express.json() 既定 100 kB を例に、「大きな本文を拒否すると webhook 失敗になり、Allow 設定では大きなプロンプトが検査なしで通る」と注意しています。自社で建てるなら、受信サイズ上限の引き上げと負荷試験が最初の作業です。
自社で DLP 製品をすでに運用していて、その製品が Inference hooks のエンドポイントに対応しているなら、ベンダーに任せる選択肢があります。対応していない場合は、受信・署名検証・DLP への転送・判定返却を行う薄い中継サーバーを自社で建てることになります。いずれも「誰が 24時間の稼働と監視を持つか」が決め手です。
導入前セルフチェック — 12項目
契約・権限・サーバー・運用の順に、設定画面を開く前に確認します。
- 契約が Claude Enterprise である(Team・API・Bedrock では使えない)
- 設定作業者が Owner または Primary owner である
- Bedrock・Vertex AI 経由の Claude 利用が社内に混在していないか棚卸しした
- 失敗時の扱い(Block/Allow)を決裁者と合意した
- タイムアウト値を自社サーバーの実測に基づいて決めた(既定 5,000ms のままにしない)
- 検査サーバーが自社ドメインの公開 IPv4・ポート 443・リダイレクトなしで動く
- 署名検証を生のバイト列に対して行い、標準 base64 でシークレットを復号している
- 受信本文の上限を引き上げ、大きな添付付きプロンプトで負荷試験した
-
deny_reasonの文面と、管理者の定型文(連絡先・例外申請先)を用意した - 拒否後の続け方(アプリ別)をヘルプデスクの FAQ に載せた
- Compliance API を有効化し、拒否・ブレーカー作動を SIEM で受ける経路を作った
- 除外ロールの範囲と、除外者の扱いを社内規程に書いた
Compliance API の有効化は記録の開始時点を決めるため、Inference hooks を入れる前に済ませます。手順は「Claude の利用記録を監査部門に渡す」にまとめています。
失敗パターン5つ
- 既定の Allow のまま本番運用し、障害中に検査が抜けていた。 初回保存の既定は Allow と 5,000ms です。Allow で運用するなら、活動フィードに
endpoint_timeout/endpoint_errorとして記録される「検査なしで通った」件数を監視します(この記録は Enforce verdicts が on かつ Mode が Allow のときだけ残ります)。 - ngrok で検証しようとして接続テストが通らない。 トンネルサービスは Anthropic 側で遮断されます。最初から自社ドメインに置きます。
- deny を HTTP 4xx で返していた。 非 200 は deny ではなく webhook 失敗で、失敗時の設定が適用されます。Block 設定なら止まるので一見動いて見えますが、ブレーカーのカウントが進み、Allow 設定なら素通りします。
- シークレットのローテーション直後に正当なリクエストを落とした。 切り替えは即時ですが、旧シークレットで署名されたリクエストが約1分は届きます。切り替え期間は両方の署名を受け入れます。
- URL を変えたら認証ヘッダーが全部消えて、サーバー側で 401 を返し続けた。 URL 変更は保存済みヘッダー値をすべて消す仕様です。変更後に値を入れ直し、接続テストはフォームの値で行われる点にも注意します。
※ 出典: Claude Docs — Configure Inference hooks(取得 2026-10)/ Claude Docs — Develop an Inference hooks integration(取得 2026-10)
設定値の記入テンプレ — 会議でそのまま埋める
設定画面の項目名に合わせた記入表です。決裁の記録として残せます。
| 設定項目(画面の名称) | 選択肢・範囲 | 自社の決定 | 決めた理由 |
|---|---|---|---|
| Allow for your organization | on/off | ||
| Endpoint URL | https:// のみ | ||
| Custom request headers | 最大16個 | ||
| Failure handling › Mode | Block the request/Allow the request/Shadow mode | ||
| Prompt verdict timeout (ms) | 1〜10,000(既定 5,000) | ||
| Rollout › Requests inspected (%) | 0〜100 | ||
| Exclusions | カスタムロールのみ | ||
| Custom blocked prompt message | 最大500文字 | ||
| Validate tool calls | on/off(新規は on) | ||
| Enforce verdicts | on/off |
※ 出典: Claude Docs — Configure Inference hooks(取得 2026-10)
設定ページの「Endpoint status」「Failures per minute」「Block rate」「Recent errors」は週次の点検項目に入れます。公式は「パネルはベストエフォートで、正常に見えても検査サーバーが健全である証明にはならない」と書いているため、自社側の監視を別に持ちます。
Compliance API との使い分け
| Inference hooks | Compliance API | |
|---|---|---|
| 動くタイミング | 推論の前(インライン) | 事後 |
| すること | 対象リクエストをリアルタイムに allow/deny | 活動・チャット・ファイル・プロジェクト・セッション書き起こし・ユーザーを取得 |
| 方向 | Anthropic が自社サーバーを呼ぶ | 自社が Anthropic の API を呼ぶ |
※ 出典: Claude Docs — Inference hooks(取得 2026-10)
両者はつながっています。拒否は活動フィードに inference_hooks_request_denied として記録され、検査サーバーが返した reference_id(最大50文字)が載るので、自社の判定記録と突き合わせられます。活動フィードは発生から1分以内に照会でき、6年間保持されます。
※ 出典: Claude Docs — Query the Activity Feed(取得 2026-10)
また「常に allow を返して書き起こしを保存するサーバー」を置けば、Compliance API を定期的に叩く代わりにプッシュ型でアーカイブできる、という使い方も公式に挙がっています。
公式ドキュメント・資料集
- Inference hooks(概要) — 仕組み・対象範囲・制限・Compliance API との比較
- Configure Inference hooks — 設定手順・Shadow mode・除外・ブレーカー・監視
- Develop an Inference hooks integration — リクエスト/判定のスキーマ・署名検証のサンプルコード(Python/TypeScript/C#/Go)・運用上の仕様
- Query the Activity Feed — 拒否・ブレーカー作動の記録先
- Release notes — ベータ開始(2026年8月5日)と正式提供(2026年10月20日)の記載
よくある質問
Q. Inference hooks は Team プランや API(Claude Platform)でも使えますか?
使えません。公式ドキュメントは「Claude Enterprise 組織でのみ利用可能」とし、Claude Platform 経由の API 利用は対象外、Amazon Bedrock と Google Cloud 上の Claude も対象外と明記しています。設定できるのは Owner と Primary owner だけで、Admin ロールには権限がありません。
Q. 自社の検査サーバーが落ちたら、社員は Claude を使えなくなりますか?
設定次第です。失敗時の扱いは「Block the request(止める)」と「Allow the request(検査なしで通す)」から選び、初回保存時の既定は Allow と 5,000ms のタイムアウトです。障害が続くとサーキットブレーカーが作動し、復旧確認は作動の10分後から始まります。
※ 出典: Claude Docs — Configure Inference hooks(取得 2026-10)
Q. プロンプトの本文は Anthropic 側に別途保存されますか?
Inference hooks 自体はプロンプトや回答の本文を保持せず、設定と判定・時刻・リクエスト識別子などのメタデータだけを保存すると公式ドキュメントにあります。会話本文は各 Claude 製品の保持ルールに従い、ブロックされたメッセージも claude.ai の会話内には残ります。
Q. まず何から始めるべきですか?
常に allow を返す最小サーバーを自社ドメインに置き、Shadow mode で実トラフィックの判定を観察するところからです。公式も「最初から誰もブロックしなくてよい」段階導入として Shadow mode・検査割合・ロール除外を用意しています。
Q. 判定でプロンプトの一部を伏せ字にできますか?
できません。現在の判定は allow か deny の二択で、書き換えや伏せ字は非対応と公式の「現在の制限」に書かれています。画像だけの内容も検査されません。
次の一歩
まず、自社の契約が Enterprise か、社員が使っている経路に Bedrock や API が混ざっていないかを確認してください。次に、上の記入テンプレで「失敗時の扱い」と「タイムアウト」を決裁者と決め、常に allow を返す最小サーバーを自社ドメインに置いて Shadow mode から始めます。
Enterprise への移行判断、対象外経路の棚卸し、検査サーバーの設計(自社構築かベンダー連携か)、Compliance API と SIEM の結線まで含めた進め方を、自社の体制に合わせて書面で確認したい場合は、お問い合わせからご連絡ください。契約前提ではなく、現状の構成を伺ったうえで実装ステップを提示します。Claude 導入支援の全体像はClaude 導入支援(Tufe Company)にまとめています。
更新履歴
- 2026-10-21: 初版公開
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