「AIツールを入れたいが、補助金が使えるのか分からない」という相談が増えています。旧IT導入補助金は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称を変え、AI機能を持つITツールを検索で絞り込めるようになりました。一方で、仕組みの骨格は変わっていません。IT導入支援事業者と組み、事前登録されたITツールを、交付決定後に契約する。この順番を外すと補助対象になりません。
この記事は、事務局サイトと公募要領(通常枠・2026年8月28日改訂版)を読み、AIツールの導入に補助金を使いたい中小企業の担当者が「自社は対象か」「いくら出るか」「いつまでに何をするか」を判断できるように整理したものです。数値はすべて一次出典を示します。制度内容は変更されるため、申請前に必ず公式ページで最新値を確認してください。
結論 — 先に要点だけ
以下の数値は 通常枠(事務局) と 事業スケジュール の2026年9月時点の記載によります。
- **AIツールの導入で使うのは原則「通常枠」**です。補助率は1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内)、補助額は業務プロセス1つ以上で5万円以上150万円未満、4つ以上で150万円以上450万円以下です
- 対象は事務局に登録済みのITツールだけです。チャットボットやRPAは「汎用プロセス」に分類され、単独では申請できません。顧客対応や会計などの業務プロセスを持つツールと組み合わせる必要があります
- **直近の締切は2026年9月29日(火)17:00(5次締切)**で、交付決定は11月9日の予定です。6次・7次の日程は2026年9月19日時点で未公表です
- 通常枠の交付決定は申請数の4割強(1次から3次の公表値から計算)で、出せば通る補助金ではありません。加点項目の積み上げと、賃上げ要件の理解が結果を分けます
- GビズIDプライム(発行おおむね2週間)とSECURITY ACTIONの宣言が申請の前提です。未取得なら、今回ではなく次回以降の締切を目標に準備を始めるのが現実的です
※ 出典: デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠(事務局)(取得 2026-09)/事業スケジュール(取得 2026-09)/交付決定事業者一覧・申請数および交付決定数(取得 2026-09)
何が変わったか — 旧IT導入補助金との違い
中小企業庁は2026年3月10日に公募要領を公開し、令和7年度補正予算事業から名称を「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」に変更したと告知しています。目的は「中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上」で、「AIを含むITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入」を支援すると明記されました。
※ 出典: 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました」(取得 2026-09)
事務局が2026年1月23日に公開した「IT導入補助金2025からの主な変更点」は次の3点です。
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 名称の変更 | ITツールの導入にとどまらず、踏み込んだデジタル化とAIの活用が重要であることを周知する観点で改称 |
| AI機能を持つツールの明確化 | ITツール検索でAI機能を持つツールの絞り込みが可能になり、検索結果にAIツールであることを明記(IT導入支援事業者がAI機能ありとして登録した場合のみ) |
| 2回目以降の申請要件の追加 | IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を「物価安定の目標」+1.5パーセント以上とする3年計画の策定と従業員への表明、効果報告が要件に |
※ 出典: 事務局「デジタル化・AI導入補助金2026の概要について」(2026-01-23)(取得 2026-09)
つまり「AIだから特別な枠がある」わけではありません。既存の枠の中で、AI機能を持つツールを探しやすくなった、というのが正確な理解です。
5つの申請枠と補助率・補助額【2026年9月時点】
各枠の値は中小企業庁の 概要資料(PDF) と事務局の各枠ページの記載です。
| 申請枠 | 補助率 | 補助額 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内) | 1〜3プロセス 5万円〜150万円未満 / 4プロセス以上 150万円〜450万円以下 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費 |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | 50万円以下の部分 3/4以内(小規模事業者 4/5以内)/ 50万円超の部分 2/3以内 / ハードウェア 1/2以内 | ITツール 350万円以下(1機能のみは50万円以下)/ PC・タブレット等 10万円以下 / レジ・券売機等 20万円以下 | 会計・受発注・決済ソフトとハードウェア |
| インボイス枠(電子取引類型) | 中小企業・小規模事業者 2/3以内 / その他の事業者 1/2以内 | 350万円以下(下限なし) | 発注者が受注者に供与するクラウド型受発注ソフト |
| セキュリティ対策推進枠 | 中小企業 1/2以内 / 小規模事業者 2/3以内 | 5万円〜150万円 | IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス」(最大2年分) |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠 | 経費区分ごとに 3/4・4/5・2/3・1/2以内 | 基盤導入経費と消費動向等分析経費の合計 3,000万円まで、事務費・専門家費 200万円まで | 商工団体等が10者以上で連携して導入 |
※ 出典: 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の概要」(PDF・令和8年4月)(取得 2026-09)/申請枠・申請類型(事務局)(取得 2026-09)
「最低賃金近傍の事業者」は、令和6年10月から令和7年9月までの間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上であることを示した事業者です。該当すれば通常枠の補助率が2/3以内に上がります。
※ 出典: 通常枠(事務局)(取得 2026-09)
AIツールで使うのは通常枠 — 「プロセス」の考え方
通常枠の補助額は、導入するソフトウェアが持つ「業務プロセス」の数で決まります。公募要領のプロセス一覧は次のとおりです。
| 種別 | Pコード | プロセス名 | 該当する機能の例 |
|---|---|---|---|
| 共通プロセス | 共P-01 | 顧客対応・販売支援 | MA、SFA、CRM、予約受付台帳、無人受付 |
| 共通プロセス | 共P-02 | 決済・債権債務・資金回収 | POSレジ・券売機システム、受注・売上請求管理、売掛・回収管理 |
| 共通プロセス | 共P-03 | 供給・在庫・物流 | 入出庫管理、実地棚卸、納品管理、配送計画 |
| 共通プロセス | 共P-04 | 会計・財務・経営 | 仕訳・総勘定元帳・財務三表、経費精算、資金繰り計画 |
| 共通プロセス | 共P-05 | 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務 | 出退勤管理、シフト作成、給与計算、人事評価、採用管理 |
| 業種特化型 | 各業種P-06 | 業種固有プロセス | 業種別の専用システム |
| 汎用プロセス | 汎P-07 | 汎用・自動化・分析ツール | RPA、チャットボット、OCR、グループウェア、WEB会議 |
※ 出典: デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠・2026-08-28改訂)別紙2 業種・プロセス一覧(PDF)(取得 2026-09)
AIツールを検討する担当者が押さえるべき点は4つです。
- 汎用プロセスのみのツールは単独申請できない。 RPAやチャットボットは汎P-07に分類され、共P-01〜各業種P-06のいずれかと組み合わせて申請したときに1プロセスとして数えられます。「問い合わせ対応をAIチャットボットで自動化したい」なら、顧客対応・販売支援の機能を持つツールと一体で計画する必要があります
- チャットボットやRPAのシナリオ作成費は「役務」に分類される。 公募要領はシナリオ作成費をカテゴリー6(導入設定・マニュアル作成・導入研修)として登録すると定めています。役務の補助対象経費は1申請あたり200万円が上限です
- AI搭載の有無はITツール検索で確認できる。 公募要領は、AIの搭載有無を含む機能概要をITツール検索で確認するよう案内しています
- 登録されていないサービスの直接契約は対象外。 補助対象経費は「IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用」に限られます。生成AIサービスを自社で直接契約する費用は対象になりません。別紙2は、顧客側画面の新規制作のようなスクラッチ開発に該当する費用も対象外としています
※ 出典: 公募要領(通常枠)2-2 補助対象経費の内容と、補助対象となるITツールの分類・要件(PDF)(取得 2026-09)/ITツール・IT導入支援事業者検索(取得 2026-09)
ここが、AI導入支援会社と話すときの分岐点です。会社によって「登録ITツールを持つIT導入支援事業者として補助金の申請まで支援できる」場合と、「補助金の対象外の開発や伴走を請け負う」場合があります。どちらが自社の目的に合うかは、ツールを買いたいのか、業務の設計から頼みたいのかで決まります。この判断の材料は AI自動化の導入費用と投資回収 と AI自動化を外注する際のチェックリスト にまとめています。
スケジュール — 9月29日締切と、その後
| 締切回 | 対象枠 | 締切日 | 交付決定日(予定) | 事業実施期間・実績報告期限(予定) |
|---|---|---|---|---|
| 5次締切 | 通常枠・インボイス枠(両類型)・セキュリティ対策推進枠 | 2026年9月29日(火)17:00 | 2026年11月9日(月) | 交付決定〜2027年4月30日(金)17:00 |
| 3次締切 | 複数者連携デジタル化・AI導入枠 | 2026年10月30日(金)17:00 | 2026年12月10日(木) | 交付決定〜2027年5月31日(月)17:00 |
| 6次・7次締切 | 通常枠ほか | 未公表(2026年9月19日時点) | 未公表 | 未公表 |
※ 出典: 事業スケジュール(事務局)(取得 2026-09)
交付申請の受付は2026年3月30日(月)10:00に始まっています。事務局は「確定している募集回のスケジュールのみ公表」し、以降は随時更新するとしています。締切日の17:00を過ぎると理由を問わず受け付けられず、直前はアクセス集中で画面遷移やSMS認証に時間がかかると注意喚起されています。
なお2026年9月16日、事務局は消費税率引き下げ方針(大綱の閣議決定)を受けて、スマートレジの導入について「事前着手制度」を設けると告知しました。9月15日以降に導入し事後に申請できる仕組みで、申請受付は2027年1月頃の予定、公募要領は後日公開とされています。レジ導入を検討している事業者はこちらも追ってください。
※ 出典: 事務局「変化の時代に対応できるスマートレジの導入(事前着手制度)を行います」(2026-09-16)(取得 2026-09)
採択の目安 — 公表された申請数と交付決定数
事務局は締切回ごとの申請数と交付決定数を公表しています。2026年9月2日更新の値と、そこから計算した交付決定の割合(小数第2位を四捨五入)です。
| 締切回 | 通常枠(申請数/交付決定数) | インボイス枠 インボイス対応類型 | セキュリティ対策推進枠 |
|---|---|---|---|
| 1次(2026年6月18日決定) | 2,028/891(43.9%) | 4,324/2,027(46.9%) | 88/64(72.7%) |
| 2次(2026年7月23日決定) | 1,879/819(43.6%) | 3,790/2,096(55.3%) | 28/20(71.4%) |
| 3次(2026年9月2日決定) | 1,913/807(42.2%) | 3,982/1,781(44.7%) | 18/13(72.2%) |
※ 出典: 交付決定事業者一覧・申請数および交付決定数(事務局・2026-09-02更新)(取得 2026-09)。割合は公表値から本記事で計算
通常枠は3回連続で4割強にとどまっています。インボイス枠(電子取引類型)は3回とも申請数0、複数者連携枠は1次で申請2件・交付決定1件でした。AIツールの申請が集まる通常枠は、要件を満たしたうえで加点を積み上げないと通らない水準だと理解しておくべきです。
申請要件 — 150万円が分かれ目
通常枠の申請要件のうち、AIツール導入の担当者が事前に確認すべき項目を整理します。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 事業者の所在 | 日本国内で法人登記され、国内に本社と補助事業の実施場所がある法人、または国内に実施場所がある個人 |
| 最低賃金 | 交付申請の直近月に、事業場内最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上 |
| GビズIDプライム | 取得済みであること(発行はおおむね2週間) |
| SECURITY ACTION | IPAの「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言。2次公募回以降は2026年4月運用開始の新システムで申し込んだ自己宣言IDのみ有効 |
| 労働生産性の計画 | 交付申請時点の翌事業年度以降3年間で、1年後に3パーセント以上、年平均成長率3パーセント以上(IT導入補助金2023〜2025の通常枠等で採択された事業者は4パーセント以上) |
| 役務費の比率 | 導入するITツールに比して役務費用の割合が著しく高額でないこと |
※ 出典: 公募要領(通常枠)2-1-1 申請の対象となる事業者及び申請の要件(PDF)(取得 2026-09)/事務局「SECURITY ACTION自己宣言IDの登録について」(2026-02-27)(取得 2026-09)
労働生産性は「(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の事業者当たり総労働時間」で計算します。AIツールで削減した時間は分母に効くので、導入前に対象業務の総労働時間を測っておくと計画が書きやすくなります。
補助金申請額が150万円以上になると、賃上げ計画が申請要件に加わります。 事業計画期間に1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の年平均成長率を3パーセント以上とし、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にし、交付申請時点で従業員に表明することが必要です。過去にIT導入補助金2022〜2025で採択された事業者は、150万円未満でも年平均成長率3.5パーセント以上の計画が要件になります。目標が未達だった場合は補助金の返還を求められ、公募要領には返還率の例(未達年度に応じて全額、2/3、1/3)が示されています。医療・介護・社会福祉・学校の一部は適用外です。
※ 出典: 公募要領(通常枠)申請要件(テ)〜(ニ)および【補足1】補助金の返還を求める場合(PDF)(取得 2026-09)
補助対象外の経費 — ここで落ちる
公募要領が対象外と明記している経費です。契約の順番の間違いが最も多い失敗なので、先に読んでください。
- 交付決定前に購入・契約・発注したITツール
- リース・レンタル契約のITツール(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)、中古品
- 交付申請時に利用金額が定められないもの、対外的に無償で提供されているもの
- 補助金申請・報告の申請代行費、交通費・宿泊費、消費税
- 補助事業者の顧客が実質負担する費用がITツール代金に含まれるもの
※ 出典: 公募要領(通常枠)2-2(4)補助対象外となる経費、3-4 補助事業の実施及び実績報告(PDF)(取得 2026-09)
「利用金額が定められないもの」は、従量課金の生成AI APIをそのまま申請したい場合の壁になります。金額が確定する形で登録されたツールかどうかを、IT導入支援事業者に確認してください。
申請までの手順 — 8ステップ
事務局の手続きフローに、実務上の準備を足したものです。
- 公募要領を読む。 通常枠の公募要領(2026年8月28日改訂版)と交付規程を事務局の資料ダウンロードから入手します
- GビズIDプライムを取得する。 発行までおおむね2週間です。事業区分やマイナンバーカードの保有状況に応じて、オンライン申請と書類申請が用意されています
- SECURITY ACTIONを宣言する。 IPAの管理システムはGビズIDプライムまたはメンバーのアカウントが必須で、補助金の申請マイページと同じGビズIDで申し込みます
- 対象業務の工数を測る。 労働生産性の計画に必要な総労働時間、営業利益、人件費、減価償却費を直近期の決算から整理します
- IT導入支援事業者とITツールを選ぶ。 ITツール検索で通常枠・AI機能で絞り込み、業務プロセスの組み合わせと補助額の区分(150万円未満か以上か)を決めます
- 加点項目を確認して手続きする。 省力化ナビ、IT戦略ナビwith、デジタル化セカンドオピニオンなど、締切日までに完了が必要なものがあります(次章)
- 交付申請をする。 IT導入支援事業者から申請マイページの招待を受け、基本情報と添付書類を入力し、事業者側がツール情報と計画値を入力し、宣誓して提出します
- 交付決定後に契約・発注・納品・支払いをし、実績報告する。 事業実施期間は交付決定日から6か月程度で、5次締切分の実績報告期限は2027年4月30日17:00の予定です
※ 出典: 新規申請・手続きフロー詳細(事務局)(取得 2026-09)/GビズID(取得 2026-09)/IPA SECURITY ACTION(取得 2026-09)
加点と減点の一覧
審査は非公開ですが、加点・減点の項目は 申請を行う前に必要な手続き(事務局) と公募要領で公開されています。通常枠に関わるものを整理します。
| 区分 | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 加点 | 賃上げ計画(事業場内最低賃金を地域別+30円以上、給与支給総額 年平均3パーセント以上) | +50円以上にすると更なる加点。150万円以上の申請では要件そのもの |
| 加点 | クラウド製品を選定 | 政府のクラウド・バイ・デフォルト原則に基づく |
| 加点 | インボイス対応製品を選定 | |
| 加点 | 「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を含める | IPAのリスト掲載ツール |
| 加点 | 「IT戦略ナビwith」または「IT経営サポートセンター」の利用 | IT経営サポートセンターは第6回公募回から、2026年8月1日以降の利用申込が対象 |
| 加点 | 省力化ナビの活用 | 締切日までに解決策のPDFをダウンロード |
| 加点 | デジタル化セカンドオピニオン | 第3回公募回から。ITベンダー以外の第三者とのオンライン面談を完了してから申請 |
| 加点 | 健康経営優良法人2026、くるみん・えるぼし認定、成長加速マッチングサービスへの登録 | |
| 減点 | IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者 | 同一機能のツールを導入する場合は更に減点 |
| 減点 | 2026のインボイス枠で申請または交付決定済み | |
| 減点 | 2024・2025で交付決定を受けたソフトとプロセスが重複 | 完全に一致する場合は不採択 |
※ 出典: 申請を行う前に必要な手続き(事務局)(取得 2026-09)/公募要領(通常枠)3-3 交付申請の審査(PDF)(取得 2026-09)
2026年8月28日の改訂では、審査事項に「セキュリティ対策を進めているか」が追加されました。SECURITY ACTIONの宣言は要件ですが、それに加えてセキュリティ対策の取り組みを示せるかが見られます。加点を受けたのに要件を達成できなかった場合、未達の報告から18か月間は中小企業庁所管の他の補助金でも大幅に減点されます。取れる加点だけを取る姿勢が安全です。
※ 出典: 公募要領(通常枠)改訂履歴 2026-08-28、【補足4】(PDF)(取得 2026-09)
申請前セルフチェック — 15項目
印刷して、IT導入支援事業者との打ち合わせ前に埋めてください。前半は 申請の対象となる方(事務局) と公募要領の申請要件、後半は計画と運用の項目です。
事業者の要件
- 資本金または常時使用する従業員数が業種別の基準(例 サービス業は資本金5,000万円以下または従業員100人以下)を満たしている
- 親会社・同一代表者の別法人など「みなし同一法人」に該当せず、グループで1申請になっている
- 直近月の事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上である
- GビズIDプライムを取得済み、または発行に2週間かかることを見込んで申請済み
- SECURITY ACTIONを新システムで宣言し、自己宣言IDを控えている
- 導入したいツールが事務局のITツール検索に登録されている
- ツールが共P-01〜各業種P-06の業務プロセスを1つ以上持つ(汎用プロセスのみではない)
※ 出典: 公募要領(通常枠)2-1-1 申請要件、2-1-2 申請の対象外となる事業者(PDF)(取得 2026-09)
計画と運用
- 150万円以上を申請する場合、賃上げ計画を策定し従業員に表明する準備がある
- 労働生産性の計算に必要な営業利益・人件費・減価償却費・総労働時間が出せる
- 役務費(コンサル・設定・研修・保守)がツール代金に比して著しく高額になっていない
- 交付決定前に契約・発注・支払いをしない体制になっている(社内の稟議順序を確認)
- IT導入補助金2022〜2025で採択されている場合、減点と追加要件(3.5パーセント)を織り込んでいる
- 加点項目のうち、締切日までに完了できるものを洗い出した
- 交付決定から6か月程度で導入と実績報告を終えられる
- 導入後3年間、効果報告(2028年4月から毎年)を出す担当を決めた
※ 出典: 公募要領(通常枠)2-1-1 申請要件(テ)〜(ナ)、3-3 交付申請の審査、3-5 事業実施効果の報告(PDF)(取得 2026-09)
失敗パターン5つ
- 交付決定前に契約してしまう。 公募要領で対象外と明記されている、最も避けやすい失敗です。ベンダーから「先に契約を」と言われても、交付決定通知の後にしてください
- チャットボット単体で申請しようとする。 汎用プロセスのみのツールは単独申請できません。顧客対応・販売支援などの業務プロセスと組み合わせて計画します
- 150万円以上を申請して賃上げ要件を軽く見る。 未達なら返還を求められ、未達年度によっては全額です。150万円未満に抑えて要件を外す選択肢も検討してください
- 加点のために取り組みを申告して達成できない。 18か月間、他の中小企業庁所管補助金でも大幅減点の対象になります
- 導入後に解約する。 導入したツールの解約・利用停止は辞退の手続きが必要で、複数導入の一部解約でも辞退とみなされる場合があります。2年分のクラウド利用料が対象になる分、使い続けられるツールを選ぶことが前提です
※ 出典: 公募要領(通常枠)2-2(4)、3-3(2)、3-5(1)(PDF)(取得 2026-09)
公式リソース集
| 資料 | 用途 |
|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026 事務局サイト | 新着情報、締切、ITツール検索 |
| 資料ダウンロード(公募要領・交付規程・交付申請マニュアル) | 通常枠の公募要領は2026年8月28日更新版 |
| 事業スケジュール | 6次以降の締切が公表されたらここに載る |
| ITツール・IT導入支援事業者検索 | AI機能の有無、対応エリアで絞り込み |
| 中小企業庁 公募情報ページ | 制度の所管と問い合わせ先 |
| GビズID | プライムアカウントの作成 |
| IPA SECURITY ACTION | 自己宣言の申込(2026年4月1日から新システム) |
よくある質問
Q. 生成AIのサービスをそのまま申請できますか?
補助対象は、IT導入支援事業者が事務局に事前登録したITツールに限られます。生成AIを組み込んだ製品が登録されていれば対象になり得ますが、登録されていないサービスを自社で直接契約する費用は対象外です。事務局のITツール検索でAI機能の有無を絞り込んで確認してください。
Q. 通常枠の補助率と補助額はいくらですか?
補助率は1/2以内で、最低賃金近傍の事業者は2/3以内です。補助額は業務プロセス1つ以上で5万円以上150万円未満、4つ以上で150万円以上450万円以下です。150万円以上を申請する場合は賃上げ計画の策定と従業員への表明が申請要件になります。
※ 出典: 通常枠(事務局)(取得 2026-09)
Q. 採択率はどのくらいですか?
事務局は申請数と交付決定数を公表しています。2026年9月2日更新の公表値では、通常枠は1次から3次まで申請数の4割強が交付決定されています。インボイス枠(インボイス対応類型)は4割半ばから5割半ば、セキュリティ対策推進枠は7割前後です。本文の表に回ごとの数値を載せています。
Q. 今から準備して9月29日の締切に間に合いますか?
GビズIDプライムの発行はおおむね2週間かかると事務局が案内しており、SECURITY ACTIONの自己宣言とIT導入支援事業者との事業計画の共同作成も必要です。未取得の場合は5次締切に間に合わない可能性が高く、次回以降の締切に向けた準備を始めるのが現実的です。6次以降の日程は事業スケジュールのページで随時公表されます。
Q. 交付決定の前に契約してもよいですか?
公募要領は、交付決定前に契約・発注したITツールを補助対象外と明記しています。契約と発注は交付決定通知を受けてから行い、契約日・納品日・支払日の証憑を実績報告に備えて保管してください。
次の一歩
補助金は「登録済みのITツールを買う」ための制度です。AIで自動化したい業務がツールの購入で解決するなら、IT導入支援事業者を探すのが最短です。一方で、業務の流れ自体を設計し直したい、複数のシステムをつないで自動化したい、社内データを生成AIに安全に渡す仕組みを作りたい、という段階なら、補助金の枠に合わせてツールを選ぶより先に、何をどこまで自動化するかを決める必要があります。
Tufe Company は、その設計の段階から相談を受けています。補助金の対象になる部分とならない部分を切り分け、書面で実装ステップを提示します。契約が前提ではありません。導入したい業務と、現在の工数の目安を添えてお送りください。
AI導入の全体像は Claude 導入支援 と サービス一覧 にまとめています。社内で予算を通す段階なら AI導入の社内稟議と予算の通し方 が使えます。
更新履歴
- 2026-09-19: 初版公開(通常枠の公募要領 2026-08-28 改訂版・事務局サイト 2026-09-19 時点の情報に基づく)