SoV が「広告予算シェア」から「AI 応答シェア」に変わった
Share of Voice(SoV)は、もともとマス広告のメディアプランニング指標でした。同カテゴリの広告総出稿量のうち、自社が占める割合 — これが伝統的な定義です。
ところが LLMO 時代、SoV は別の意味を持ち始めました。ユーザーが ChatGPT/Perplexity に投げた質問に対する LLM の応答テキストの中で、自社ブランドが言及される比率。これが「AI 検索における SoV」です。
なぜ重要なのか。AI 応答は SEO のように「順位」がない。1 ページ目に 10 サイトが並ぶ世界ではなく、「2〜4 社が応答テキスト内で挙げられる」世界です。だから「呼ばれたか / 呼ばれていないか」「何回呼ばれたか」が、そのまま事業インパクトに直結します。
本記事では SoV の定義・算出ロジック・実装方法を整理し、Tufe SoV と海外 SaaS(Profound、Brand UP 等)の計測思想の違いまでを扱います。
SoV の定義 — 何をカウントすると SoV になるのか
AI 検索 SoV の基本式は単純です。
SoV = (自社が言及された応答数) / (総応答数) × 100
ただし、これだけでは現場では使えない。実際は以下の 4 軸を組み合わせます。
| 軸 | 何を測るか |
|---|---|
| 言及率 | 応答テキスト内で自社名が登場した回数 |
| 言及位置 | 応答テキストの何文字目 / 何番目に登場したか |
| 言及文脈 | ポジティブ / ニュートラル / ネガティブ |
| 言及プロンプト多様性 | 何種類のプロンプトで言及されたか |
この 4 軸を合成したものを、Tufe では Tufe SoV と呼んで月次レポートに載せています。
算出ロジックの 4 ステップ
Step 1 — プロンプト集合の設計
最初に「どんなプロンプトを LLM に投げるか」を決めます。ここで結果が大きく変わるので、業種派生・地域派生・課題派生で 10〜20 個用意します。
例(士業):
- 「東京で会社設立を相談できる司法書士は?」
- 「相続放棄 手続き 司法書士 オンライン」
- 「会社設立 freee 連携 司法書士」
Tufe ai-search-health-check の現状仕様では業種派生 10 KW を 4 LLM に投げ、合計 40 calls にしています。
Step 2 — LLM への実問合せ
各プロンプトを ChatGPT / Claude / Gemini / Perplexity に投げ、応答テキストを取得します。重要なのはタイムスタンプとモデル ID を必ず記録すること。LLM は同じプロンプトでも応答が揺らぐので、再現性のために「いつ・どのモデルで」が必要です。
OpenAI のドキュメントでは、temperature=0 を指定しても完全な決定性は保証されないとされており、サンプリングの非決定性が残ります。
※ 出典: OpenAI Cookbook — Reproducible outputs(取得 2026-05)
Step 3 — 自社・競合の言及抽出
応答テキストから、自社ブランド名・競合ブランド名・関連エンティティを抽出します。単純な文字列マッチでは「Tufe」「tufe」「タフ」「タフェ」のような表記揺れに弱いので、正規表現+類似度判定(編集距離 1 まで許容)の組み合わせが現実的です。
URL の有無も重要。応答テキスト内に tufecompany.co.jp のような URL がある言及は、ユーザーがクリックする可能性が高い「URL 付き言及」として別カウントします。
Step 4 — 4 軸でのスコア合成
最後に、4 軸を重み付け合成します。Tufe での標準ウェイトは以下です(変更可能)。
※ Tufe Company 内部実測 / 2026-05時点で運用している標準ウェイト(顧客ごとの調整可)
- 言及率: 40%
- 言及位置(先頭ほど高得点): 25%
- 言及文脈(ポジティブ加点): 20%
- プロンプト多様性: 15%
このウェイトで 0-100 のスコアを出し、競合各社と並べて月次推移を見ます。
Tufe SoV の特徴 — Tufe の現状仕様
Tufe では app/api/market/* のジョブから 4 LLM 実問合せを走らせ、応答テキストを保存しています。Tufe SoV の特徴は次の 3 点です。
- 実問合せベース: シミュレーションや SERP 推定ではなく、各 LLM への実 API コールを使用
- 業種派生 KW: フォーム入力された業種から自動で 10 KW を派生し、業種文脈の偏りを抑える
- 競合 3 社まで自動抽出: 応答テキストから頻出ブランドを抽出し、自動で競合候補に登録
Tufe AI Search Health Check は月額 ¥14,800 で、業種派生 10 KW × 4 LLM = 40 calls の月次計測と 12 ヶ月推移を提供します。
海外 SaaS との比較 — Profound / Brand UP との計測思想の違い
Profound
Profound は Snowflake Marketplace 経由でデータセット提供する、米国発の LLMO 計測 SaaS です。Prompt Volumes(プロンプト量)と Citation Tracker(引用追跡)が主要プロダクトで、特に B2B SaaS 領域での導入が多い。 ※ 出典: Profound — Snowflake Marketplace(取得 2026-05)
Profound の SoV 計測は、自社で集計した「米国市場の標準プロンプトセット」を使って横断比較するスタイル。だから「米国 SaaS 業界での横断 SoV」が出る。一方、日本語固有プロンプトや地域文脈は弱い。
Brand UP(旧 Otterly.AI 系統)
Brand UP は、複数 LLM の応答テキストを継続的に取得し、ブランド言及をトラッキングするツールです。月額 $99 から開始でき、SMB でも導入しやすい価格帯。 ※ 出典: Brand UP — Pricing(取得 2026-05)
計測対象 LLM 数とプロンプト数は契約プランで変動。サンプル数は Profound より少ない構成が標準です。
比較表
| ツール | 計測方式 | LLM カバレッジ | 日本語対応 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| Tufe SoV | 実問合せ | 4 LLM | 強(業種派生 KW 日本語) | ¥14,800/月 |
| Profound | 実問合せ+集計 | 主要 4 LLM | 弱(英語前提) | 商談 |
| Brand UP | 実問合せ | 5+ LLM | 中(英語強・日本語可) | $99+/月 |
選び方の指針: 日本語業種固有プロンプトで日本市場の SoV を測るなら Tufe、グローバル SaaS の横断 SoV を見るなら Profound、ブランド単位での全 LLM 追跡を低コストで始めたいなら Brand UP、というのが現状の住み分けです。
自社実装ガイド — 内製する場合の最小構成
SaaS を使わず自社で SoV を測りたい場合の最小実装パスを示します。
必要なもの
- OpenAI / Anthropic / Google AI / Perplexity の API キー(合計でも月 ¥3,000〜¥10,000 規模)
- プロンプト集合(業種派生 10 KW)
- ジョブ実行環境(Cron / GitHub Actions / Vercel Cron など)
- データベース(PostgreSQL / Supabase など)
実装の擬似コード
const prompts = await deriveBusinessPrompts(industry, region);
const llms = ["gpt-4o", "claude-3-5-sonnet", "gemini-1.5-pro", "perplexity-online"];
for (const prompt of prompts) {
for (const llm of llms) {
const response = await callLLM(llm, prompt, { temperature: 0, seed: 42 });
const mentions = extractMentions(response.text, brandsToTrack);
await storeSoVRecord({ prompt, llm, response: response.text, mentions, runAt: new Date() });
}
}
コスト試算
10 KW × 4 LLM = 40 calls / 月。応答テキスト平均 800 トークンとして、API コストは Anthropic Claude Sonnet で約 $0.012 / call、GPT-4o で約 $0.008 / call、合算で月 $0.5〜$2 規模。 ※ 出典: Anthropic — Pricing / OpenAI — API Pricing(取得 2026-05)
内製のメインコストは API 代ではなく、プロンプト設計と応答テキスト解析の工数になります。ここを自動化しないと、毎月誰かが手で見る運用になりがち。SaaS を選ぶ価値はここに集中しています。
SoV を読むときの注意
SoV は強い指標ですが、誤読も多い。注意点を 3 つ。
- 絶対値より推移を見る: 1 ヶ月だけの SoV は応答揺らぎに引きずられる。最低 3 ヶ月の推移で読む
- プロンプト集合を固定する: プロンプトを毎月変えると比較できない。集合は固定し、四半期ごとに見直す
- 言及されないこと自体に意味がある: 競合 3 社のうち 1 社が言及されないなら、それは「LLM に認知されていない」という強いシグナル
まとめ — SoV は AI 時代の「占有率」指標
SEO 順位や広告予算では捉えられない、AI 時代のブランド占有率指標が SoV です。
- 算出は 4 軸(言及率・位置・文脈・多様性)の合成
- 実問合せ+応答テキスト解析が中核
- SaaS を使うか内製するかは、日本語対応とランニングコストで判断
- 推移を読むのが本質。単月の絶対値に振り回されない
「自社の SoV、3 社並べて見たことがありますか?」が、最初の問いです。
次の一手 — まずは無料診断で 1 KW の SoV を見る
- 無料 LLMO 簡易診断(24 時間以内にレポート) — 業種派生 1 KW で ChatGPT 応答内の自社言及を確認
- LLMO Optimization Pack(¥4,980 買い切り) — ChatGPT + Claude 5 KW 実問合せ + Tufe SoV を一度に取得
- AI Search Health Check(¥14,800/月) — 4 LLM × 10 KW = 40 calls の月次 SoV と 12 ヶ月推移
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