なぜ「AI Search Volume」が新しい指標として必要なのか
Google 検索ボリュームは Google の自社プロダクトから出てくるシグナルです。一方、ChatGPT や Perplexity に投げられた質問は、これまで「外から見えない」領域でした。
ところが 2025 年後半から、各社が AI チャットへの実問合せ量を推定・公開するデータが出始めています。SEO 担当者がこれを無視できなくなった背景には、行動の移行があります。
OpenAI の発表では、ChatGPT の週次アクティブユーザーは 2025 年 8 月時点で 7 億人を超えました。 ※ 出典: OpenAI — ChatGPT now has more than 700 million weekly active users(取得 2026-05)
これは Google 検索全体の利用者数と直接比較する数字ではありませんが、「Google で検索していた人の一部が ChatGPT/Perplexity に流れている」のは事実として観測されています。だから、AI 検索側のボリュームを測らないと、本当の検索市場のサイズが分からなくなった。これが AI Search Volume という指標が必要になった理由です。
本記事では、AI 検索ボリュームを実測する 3 つのアプローチを、精度・コスト・実装難易度の観点から比較します。
3 つのアプローチの全体像
| アプローチ | データソース | 精度 | コスト | 実装難易度 |
|---|---|---|---|---|
| ① DataForSEO AI Keyword Data API | DataForSEO 集計 | 中〜高 | 従量課金 | 低 |
| ② Profound の Prompt Volumes | Profound 計測 | 高(観測領域内) | サブスク | 低(SaaS) |
| ③ 独自スクレイピング / プロキシ取得 | 各 LLM 公開ログ等 | 中 | 構築工数 | 高 |
3 つを排他的に選ぶというより、用途で使い分けるのが現実解です。最初は ① か ② で全体感を掴み、特定キーワード群を深掘りするときに ③ を加える流れになります。
アプローチ ① — DataForSEO AI Keyword Data API
DataForSEO は SEO ツール業界で長年 API を提供してきたデータベンダーで、2025 年以降 AI 検索向けの API ラインを拡張しています。AI Keyword Data 系のエンドポイントから、AI チャット内で投げられたキーワード(プロンプト)の月次推定量・上位国・関連プロンプトを取得できます。
価格は API コール量に応じた従量課金で、AI Keyword Data 関連エンドポイントは 1 タスクあたり数セント単位の発生となります(詳細は公式 Pricing を参照)。
※ 出典: DataForSEO — Pricing(取得 2026-05)
実装の最小例
curl -X POST "https://api.dataforseo.com/v3/keywords_data/ai/search_volume/live" \
-H "Authorization: Basic <BASE64>" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '[{"keywords": ["LLMO 対策", "AI 検索 最適化"], "location_code": 2392}]'
レスポンスには各キーワードの月次推定量、地理分布、関連プロンプトが含まれます。Tufe では lib/dataforseo.ts ラッパー越しに呼び出し、app/api/market/... 側のジョブから業種派生キーワード 10 件 × 4 LLM で 40 calls 走らせる構成にしています。
強みと限界
強みは、SEO で長年使われてきた DataForSEO の同じ口(同じ認証・同じレスポンス形式)で AI 検索のデータが取れること。既存のキーワード調査ワークフローに組み込みやすい。
限界は、推定アルゴリズムがブラックボックスであること。DataForSEO 側で「どのデータソースから集計しているか」は公開されていません。だから「真値の代理指標」として参考にするのが正しい使い方で、絶対値の根拠には使わない。
アプローチ ② — Profound の Prompt Volumes
Profound は米国発の LLMO 計測 SaaS で、ChatGPT / Perplexity / Gemini / Claude などへの実プロンプト量を計測した Prompt Volumes データを公開しています。同社の Answer Engine Insights 製品の一部として提供され、Snowflake Marketplace でもデータセットが配布されています。
※ 出典: Profound — Snowflake Marketplace listing(取得 2026-05)
価格は Enterprise 商談ベースで非公開ですが、米国の競合 SaaS(Brand UP、Quattr など)が月額 $500〜$3,000 のレンジに集中していることから、同レンジ前後と推定されます。 ※ 出典: Brand UP — Pricing(取得 2026-05)
強みと限界
強みは、計測方式が「LLM への実問合せ+応答テキスト分析」という点。DataForSEO のような集計型と違い、各プロンプトに対して LLM が何を返したか、自社・競合がどう言及されたかまで取れます。
限界は、観測サンプル数とプロンプトの再現性。同じプロンプトでも LLM の応答は揺らぐので、「今月 100 件中 23 件で自社が言及された」という数字は、来月同じ条件で 18 件・27 件に動くことがある。SaaS 側でサンプル数と信頼区間を提示しているかを必ず確認してください。
アプローチ ③ — 独自スクレイピング / プロキシ取得
3 つ目はインハウス実装です。各 LLM が公開している以下のデータを組み合わせて、自社固有のボリューム推定を組み立てます。
- OpenAI の
gpt-3.5-turbo/gpt-4oAPI への問合せログ(自社プロダクト経由のもの) - Perplexity の Public Threads(共有 URL 化されたスレッド)
- X / Reddit 等の公開投稿から ChatGPT 共有リンクを集計
- 自社サイトの Referer ログ(
chat.openai.com/perplexity.ai経由の流入)
Tufe では Referer ログから ChatGPT/Perplexity 経由流入を分析した結果、特定の業種 KW で月 80〜150 件規模の流入が観測されています。 ※ Tufe Company 内部実測 / 2026-05時点
強みと限界
強みは、自社ユースケースに完全にカスタマイズできることと、ランニングコストが計算可能なこと(API コスト+サーバ代)。
限界は、観測領域が狭いこと。OpenAI / Perplexity の全グローバル問合せのうち、自社プロダクトや公開 Thread を経由しないものは見えない。スポット深掘り用と割り切るのが正しい。
どう使い分けるか — 用途別の推奨
全体感を掴みたい段階(最初の 1 ヶ月)
DataForSEO の AI Keyword Data か、Profound などの SaaS で月次レポートを 1 ヶ月分取る。業種派生 10〜20 KW で、自社・主要競合 3〜5 社の言及率を出す。これだけで「自社が AI 検索でどのくらい見られているか」の桁感が分かります。
投資判断を固める段階(2〜3 ヶ月目)
複数アプローチを併用し、データの整合性を確認する。①のキーワード月次量と、②のプロンプト言及率を、同じ KW で並べて見ると、計測手法の偏りが見える。Tufe の ai-search-health-check では ①+② に近い計測思想で 4 LLM × 10 KW = 40 calls を月次で走らせています。
キャンペーン単位で深掘りする段階
特定キャンペーン(新商品・新エリア・新業種)で ③ を加える。自社プロダクトの Referer ログとアンケート結果を組み合わせ、ChatGPT 経由で流入したユーザーの行動を深堀りする。
計測値を読むときの注意
数字は強い説得力を持つので、読み手に誤った印象を与えないよう、以下を一緒に提示するのが安全です。
- 計測期間(〇月〇日〜〇月〇日)
- サンプル数(プロンプト数・LLM コール数)
- 計測方式(実問合せ / 集計推定 / Referer ログ)
- 信頼区間や揺らぎ幅
特に「ChatGPT 内で自社が ◯% 言及された」という数字は、サンプル数が 100 を切ると揺らぎが大きい。Tufe のレポートでは、最低 40 calls 以上を基準に出すルールにしています。
まとめ — 「測れない」から「測れる」へ
AI 検索ボリュームの計測は、2025 年までは「外から見えない領域」でした。2026 年現在は、3 つのアプローチが組み合わせ可能になっています。
- DataForSEO で月次量の桁感を掴む
- SaaS(Profound 等)で言及率と競合比較を出す
- 必要な領域だけスクレイピング / Referer 分析を足す
これで AI 検索市場のサイズと自社のシェアが、ある程度の精度で見えるようになります。次の一手は「測った数字を、サイト構造とコンテンツの改善にどう還元するか」です。
次の一手 — Tufe の AI Keyword Volume 機能で始める
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