軽微な建設工事とは?
「軽微な建設工事」とは、建設業法第3条第1項ただし書きが定める、建設業許可を取得しなくても請け負える工事の規模上限を指します。具体的には、建築一式工事の場合は「請負金額1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事」、それ以外の専門工事(外壁塗装・屋根工事・内装・電気工事など)は「請負金額500万円未満」が基準です。
※ 出典: 建設業許可の概要(国土交通省)(取得 2026-06)
この基準は許可取得が必要かどうかを判断するための閾値であり、工事の契約上限や見積上限を定めた規定ではありません。請負金額が税込か税抜かという解釈は国交省の行政解釈で「請負代金の額」に消費税及び地方消費税を含むとされており、現場での運用上は税込金額で判断することが一般的です。
なぜ重要なのか
2024年3月末時点で建設業許可業者数は約48万3,700業者にのぼり、その99.5%以上が中小企業・小規模事業者です。
※ 出典: 建設業許可業者数調査の結果について(国土交通省, 2024年)(取得 2026-06)
外壁塗装・屋根補修・小規模リフォームを手がける工務店や職人にとって、「軽微な建設工事」の範囲は日常の受注可否に直結する判断基準です。許可がない状態で基準を超える工事を請け負うと、建設業法違反となり行政処分・罰則の対象になります。逆に、基準内の工事であれば許可なく請け負えるため、開業初期や副業的な請負形態でも合法的に事業を行える根拠となります。
また、消費者側の視点でも重要です。「軽微な建設工事」の範囲外(許可が必要な規模)の工事を、許可を持たない事業者に発注することは違法契約となりえます。このため、点検商法や訪問販売によるリフォーム被害では、許可の有無の確認が被害防止の入口になります。点検商法や有料誤認の問題と密接に関連します。
具体的な基準の仕組み
2種類の閾値を整理する
| 工事の種類 | 許可不要となる条件 |
|---|---|
| 建築一式工事 | 請負金額1,500万円未満、または 延べ面積150㎡未満の木造住宅工事 |
| 上記以外の専門工事(外壁・屋根・内装・電気・管工事等) | 請負金額500万円未満 |
※ 出典: 建設業許可の概要(国土交通省)(取得 2026-06)
実務での判断ポイント
- 500万円は消費税込みで計算するのが実務上の通例。税抜499万円でも税込で500万円を超えれば許可が必要になる場合がある
- 建築一式工事とは、総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事を指し、単なる外壁塗装や屋根の張替えは「専門工事」に分類される
- 複数の工事を分割して発注・受注する場合、正当な理由がなければ合算で判断される。意図的な分割による許可逃れは行政指導の対象
- 許可の有効期間は5年。期間内に更新しなければ失効し、軽微な建設工事の範囲を超える工事は請け負えなくなる
- 附帯工事(主たる工事に附帯する工事)は、軽微な建設工事の金額計算では主たる工事と合算して判断する
実務での活用例
工務店・リフォーム業者の受注判断
外壁塗装を専業とする職人が「塗装工事業」の許可を持たない場合、1件あたりの請負金額を軽微な建設工事の範囲内(前掲の基準)に抑えれば、許可なしで合法的に受注できます。ただし、同一顧客・同一物件で同時期に複数の工事を受注し、合計が基準額を超える場合は分割とみなされる可能性があります。
許可取得を検討するタイミング
事業規模の拡大に伴い、許可が必要な規模の工事案件が増えてきた場合は建設業許可の取得を検討する段階です。許可取得には経営業務管理責任者の要件(建設業に関する一定年数の経営経験等)や専任技術者の配置、財産的基礎(一定の自己資本等)が必要です。商工会議所や都道府県の行政書士会が相談窓口を設けているケースもあります。
消費者が確認する場面
リフォームや外壁塗装の見積もりを依頼した際、工事金額が500万円以上(建築一式なら1,500万円以上)になる場合は、発注先が建設業許可を持つ業者かどうかを国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で確認できます。許可を持たない業者への許可必要工事の発注はトラブルのもとになります。
※ 出典: 国土交通省「建設業の許可とは」(軽微な建設工事の範囲)(取得 2026-06)
セルフチェックリスト:受注前の許可要件確認
外壁塗装・屋根・リフォームの受注前に以下を確認してください。金額基準の根拠は下記の国土交通省の公開情報です。
※ 出典: 国土交通省「建設業の許可とは」(軽微な建設工事の範囲)(取得 2026-06)
- 今回の請負金額は税込500万円未満か(建築一式以外の専門工事)
- 建築一式工事の場合、税込1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事か
- 同一物件で複数工事を同時受注する場合、合算で上記を超えていないか
- 自社が該当する業種の建設業許可を保有しているか(または不要な範囲か)
- 許可の有効期限は切れていないか(5年ごとに更新が必要)
- 下請業者に発注する場合、下請業者も許可要件を満たしているか
公的リソース集
- 建設業許可の概要 | 国土交通省
- 建設業者・宅建業者等企業情報検索システム | 国土交通省(許可業者を無料で検索可能)
- 住まいるダイヤル | 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(リフォームトラブル相談窓口)
- 点検商法・リフォーム詐欺 | 国民生活センター
よくある誤解・注意点
誤解1: 「500万円未満なら何でも許可不要」
許可が不要なのは工事の請負金額が基準以下の場合です。材料を施工業者が支給する場合は材料費も含めた額で判断するのが原則です。また、業種によっては請負金額にかかわらず許可が必要な工事種別(例:電気工事業には電気工事士法による別規制)もあります。建設業法以外の関連法令も確認が必要です。
誤解2: 「許可がなくても営業実態があれば問題ない」
許可不要の「軽微な建設工事」の範囲外の工事を許可なしで請け負うことは、建設業法第3条違反です。行政処分(指示処分・営業停止・許可取消)や罰則(罰金・懲役)の対象になります。「ずっとやってきたから大丈夫」は通用しません。
誤解3: 「軽微な建設工事の上限 = 見積もりを抑える目標額」
この基準は許可の要否を判断するための法的基準であり、事業者が設定する見積もり価格の上限ではありません。適正な工事品質・コストを踏まえた見積もりが先にあり、その結果として許可の要否を判断するのが正しい使い方です。金額を意図的に分割・抑制して許可逃れをすることは、行政指導の対象になり得ます。
よくある質問
Q. 外壁塗装と屋根工事を同じ物件で同時に受注した場合、金額は合算しますか?
正当な理由のない分割発注・受注は合算して判断されます。同一物件の同時期の工事を複数の契約書に分けても、実態が一体の工事であれば合計金額が判断基準になります。個別ケースは都道府県の建設業担当窓口か行政書士にご相談ください。
Q. 建設業許可を持つ業者に下請けとして入る場合も「軽微な建設工事」の基準が適用されますか?
下請けの場合も同様に、請け負う工事の請負金額が基準以下かどうかで許可の要否が判断されます。元請が許可を持っていても、下請業者が許可の必要な規模の工事を許可なしで受注することは違法です。
Q. 消費者が「許可のある業者かどうか」を確認するにはどうすればよいですか?
国土交通省が運営する「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム(https://etsuran.mlit.go.jp/TAKKEN/)」で社名・代表者名・所在地などから無料で検索できます。また、業者に許可証の写しを見せてもらうことも有効です。[クーリングオフ](/glossary/cooling-off)や契約トラブルが起きた際の相談窓口として「住まいるダイヤル」も活用できます。
関連用語
関連ガイド・サービス
建設業許可の要否確認は、正確な法的判断が必要です。また許可取得後は、自社サイト・Googleビジネスプロフィールで「許可番号」「許可業種」を明示することが信頼性向上につながります。Tufe Companyでは、工務店・リフォーム業者向けのMEO・集客の仕組み構築を支援しています。詳しくは 工務店向け集客支援サービス をご覧ください。
法的な許可取得の手続き自体については、都道府県の建設業担当窓口または行政書士にご相談ください。
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