Claude Enterprise を配った後、経営層から「それで何がどれだけ良くなったのか」と聞かれて、席数と請求額しか答えられない。情報システムや DX 推進の担当者がこの壁に当たるのは、利用量の数字は取れても「何に使われ、何が生まれたか」を示す材料が無かったからです。
2026年10月28日、Anthropic は Claude Enterprise 向けに「スマートレポート」「アプリ内アンケート」「プール予算」の3つを一般提供にしたと発表しました。レポートは Claude 自身が社員の作業記録を読んで、作業の系統・費用・成果物・つまずきをまとめます。アンケートは社員の声を集め、プール予算はチーム単位で費用の枠を持たせます。翌29日には API 側の費用を部門別に取れる Usage and Cost Analytics API もベータ公開されました。
この記事は、発表記事と3本の公式ヘルプ、API ドキュメントを2026年10月30日時点で読み、管理者が社員に配る前に決めることを5つに絞って整理します。設定手順・対象外の構成・個人への帰属の扱い・月間の上限・アンケートの匿名性まで、一次情報で確認できた範囲だけを書いています。
結論 — 先に要点だけ
- 3機能は2026年10月28日に Claude Enterprise で一般提供。HIPAA 対応構成や顧客管理暗号鍵(CMEK)の組織では使える範囲が変わる。スマートレポートは既定オフで、Owner が Capabilities から有効にする
- スマートレポートは、選んだチーム・期間(直近28日まで)・製品の記録のサンプルを Claude が読み、ワークストリーム別の費用・成果物・つまずき・推奨事項にまとめる。組織あたり月10本まで無料で、生成には数時間かかる
- 発表記事もヘルプも「個人の業績評価や雇用上の判断には使わない」と明記。個人への帰属は既定オフで、オンにしても名前の表示は操作ごとに記録される。この線引きを社内規程に書いてから配る
- アンケートの回答は管理者に対して匿名ではない。CSV にはメールアドレスとグループが入る。カードには「回答は自社の管理者に届く」と表示されるので、社員への説明と矛盾しないようにする
- API 側の費用は10月29日ベータの Usage and Cost Analytics API に寄せる。従来の Usage and Cost API と Enterprise Analytics API のレポート系エンドポイントはレガシー扱いになった
※ 出典: Smart reports, surveys, and pooled group budgets for Claude Enterprise(取得 2026-10)/Claude Help Center — Get started with smart reports(取得 2026-10)/Claude Platform release notes(取得 2026-10)
2026年10月28日に何が出たか — 3機能の役割
3つの機能は、いずれも「Claude の利用を管理者が説明できるようにする」ための道具ですが、見る対象が違います。
| 機能 | 何を見るか | 誰が使うか | 主な制約 |
|---|---|---|---|
| スマートレポート | 作業記録のサンプルを Claude が分析し、ワークストリーム別の費用・成果物・つまずきをまとめる | Primary Owner・Owner・Admin、Analytics 閲覧権限のカスタムロール。Owner はチームリーダーに自分のグループ分だけ委任できる | 既定オフ。直近28日まで。月10本。CMEK・HIPAA・ハイブリッド構成は対象外 |
| アプリ内アンケート | 社員が自分の言葉で答える「最も価値があった使い方」「失ったら何が止まるか」 | 作成は上と同じロール。回答は対象の社員 | HIPAA 構成は対象外。CMEK は対応。回答は匿名でない |
| プール予算 | グループに1つの月額を持たせ、メンバー全員がそこから使う | Primary Owner・Owner、Billing 権限「Can manage」のカスタムロール | 利用量課金の Enterprise プラン向け。Admin API からは設定不可 |
※ 出典: Smart reports, surveys, and pooled group budgets for Claude Enterprise(取得 2026-10)/Create surveys for your organization(取得 2026-10)/Manage pooled group budgets on Enterprise plans(取得 2026-10)
発表記事は3機能を「本日から Claude Enterprise で一般提供」と書いています。一方、Enterprise 消費ガイドにはスマートレポートとプール予算に「ベータ」の表記が取得時点で残っていました。契約上の扱いを確認したい場合は、発表記事の日付と合わせて担当の営業に確認するのが確実です。
※ 出典: Claude Enterprise consumption guide(取得 2026-10)
スマートレポート — 何を読み、何を出すか
スマートレポートは、管理者がチーム・期間・製品を選ぶと、Claude がその範囲の記録のサンプルを読み、作業を系統ごとにまとめる機能です。費用は定価で計算されます。生成には通常「数時間」かかり、混雑時はさらに長くなります。完了するとメールで通知されます。
有効化と作成の手順
有効化は Primary Owner か Owner だけができます。手順は Organization settings > Capabilities の Analytics 欄で「Smart reports」をオンにするだけです。同じ場所に「Allow attribution to individual users」の切り替えがあり、これが個人への帰属の親スイッチになります。
レポートの作成は Analytics > Smart reports から「New report」を押し、次の順に進みます。
- レポート名を付ける
- チームか部門を選ぶ(RBAC グループ、または SCIM で同期した department・costCenter が必要)
- 期間を選ぶ(直近28日まで)
- 製品を選ぶ(チャット・Claude Code・Cowork・統合体験)
- サンプル件数をプレビューする
- 補足資料を付ける(任意)
- 共有先と、帰属付き表示の有無を選ぶ
- テンプレート・カスタム質問・カスタムインサイトを選ぶ
- 「Create report」を押す
部門やコストセンターで絞るには、ID プロバイダーの SCIM 設定で enterprise 拡張スキーマの department と costCenter を送る必要があります。送った値がそのままフィルタのラベルになるため、コードではなく名前を送ることが勧められています。
※ 出典: Claude Help Center — Get started with smart reports(取得 2026-10)
レポートに入る項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ワークストリーム | 用途の系統ごとのセッション数と費用 |
| 成果物の種類 | 分析・コード・文書の下書きなど、出力の種類ごとの集計と、種類別の1セッションあたり平均費用 |
| 主なつまずき | コネクタ不足・出力の不一致・承認待ち・ツール失敗・やり直しの繰り返し |
| 非効率 | 使えなかったセッションや私的・無関係なセッションの件数と費用(要約や個別表示は無い) |
| 複雑で自律的な作業 | 複雑さ・節約時間・自律性で並べたセッション |
| 最も費用が大きいセッション | 支出が集中している場所 |
| カスタム質問・インサイトへの回答 | 回答ごとにセッション数と費用の割合 |
| 推奨事項 | 繰り返し作業をスキルにする提案、コードリポジトリに追加するルール、支出上限で作業が止まっている人 |
図は操作でき、ワークストリームを押すと費用順にセッションの要約・製品・日付・出力の種類が出ます。HTML で保存でき、掘り下げもそのまま残ります。カスタムインサイトは全セッションに同じ質問をするもので、回答形式は「分類」「はい・いいえ」「尺度」の3種類です。質問とインサイトの組はテンプレートとして保存できます。
組織あたり月10本まで無料で、待機中と生成中も数に入ります(失敗したものは数えません)。翌月1日にリセットされ、追加が必要なら担当の営業に連絡します。
※ 出典: Claude Help Center — Get started with smart reports(取得 2026-10)
対象外の構成 — CMEK・HIPAA・ハイブリッド・ZDR
次の構成の組織はスマートレポートを使えません。顧客管理暗号鍵(CMEK)、HIPAA 対応構成、自社のクラウドで推論を動かすハイブリッド構成の3つです。Claude Code をゼロデータ保持(ZDR)で使っている場合は、レポートの対象はチャットと Cowork だけになり、Claude Code は外れます。
この点は、同じ Enterprise でも契約や構成で見える範囲が変わることを意味します。先に自社の構成を確認してから、経営層に「レポートで示せる」と約束するのが順番です。
※ 出典: Claude Help Center — Get started with smart reports(取得 2026-10)
個人への帰属と、制限トピックの扱い
帰属の切り替えは3段構えです。組織の親スイッチがオフ(既定)なら、掘り下げ画面の利用者は「User」と表示され、セッション ID も隠れます。オンにしても掘り下げの既定表示は「User」のままで、閲覧者がレポート内の操作で名前とセッション ID を表示でき、その表示は毎回記録されます。共有先に帰属付きで見せるには、組織の親スイッチがオンである必要があります。
制限トピックに触れる会話は、集計にだけ使われ、要約は作られません。制限トピックには、保護対象の属性、健康、組合活動、ハラスメントや法的な事柄、政治的・宗教的な信条、私生活、特定の名前の人物に対する感情が含まれます。私的な会話は個別セッションと名前も出ません。このガードレールは常時オンで、管理者も切れません。
そして、発表記事とヘルプの両方が「個人の業績評価や雇用上の判断には使わない」と明記しています。分析はサンプルに基づくため、個人の評価に耐える網羅性も持っていません。
※ 出典: Claude Help Center — Get started with smart reports(取得 2026-10)/Smart reports, surveys, and pooled group budgets for Claude Enterprise(取得 2026-10)
アンケート — 4つの既定質問と、回答が匿名でない点
アンケートは Analytics > Surveys から作ります。名前(内部用)、開始日と終了日、対象(全員か1つ以上のグループ)、表示する画面(チャット・Cowork・Claude Code)を決め、質問を確認して予約するか下書きで保存します。終了日になると自動で閉じ、結果画面から早く閉じることもできます。
| 既定の質問 | 回答形式 | 狙い |
|---|---|---|
| 最近 Claude でやった最も価値のあることは何か。結果が良くなったとどう分かったか | 自由記述 | 成果の具体例を集める |
| Claude は作業にかかる時間をどう変えたか | 複数選択 | 時間の変化を分類する |
| 同僚が真似すべき使い方を、翌日から始められる程度に説明してほしい | 自由記述 | 横展開の種を集める |
| 明日 Claude が使えなくなったら、チームで最初に何が壊れ、何が遅くなるか | 自由記述 | 依存の大きさを測る |
質問は公開前に追加・削除できます。社員にはチャットの返信後、Cowork の作業の合間、Claude Code の応答後など、作業の切れ目に小さなカードが出ます。実行中の作業を中断することはなく、1つのアンケートは1人1回だけ表示され、閉じると辞退扱いです。カードには組織名と、回答が Anthropic ではなく自社の管理者に届くことが表示されます。回答は1問ずつで、所要時間は90秒程度と案内されています。
結果はライブ中から集計され、総回答数・回答率・表示回数・複数選択の棒グラフ・自由記述の一覧が見られます。CSV 書き出しは1回答1行で、送信時刻・メールアドレス・グループ・回答した画面・質問ごとの列が入ります。つまり、管理者に対して回答は匿名ではありません。保持期間は組織のデータ保持設定に従い、Anthropic はサービス運営に必要な範囲でしかアクセスしないと説明されています。HIPAA 構成の組織は使えず、規制対象データを回答に書かないよう注意書きがあります。CMEK には対応しますが、鍵を追加してから約1日分のデータは Anthropic の鍵で暗号化されたままになります。
※ 出典: Create surveys for your organization(取得 2026-10)/Smart reports, surveys, and pooled group budgets for Claude Enterprise(取得 2026-10)
プール予算 — 10月27日の記事からの差分
プール予算の仕組みは、統合体験の記事で支出上限の3層とあわせて整理しました。10月28日の発表で変わったのは、一般提供になった点と、ヘルプに金額の決め方が載った点です。
設定場所は Organization settings > Usage > Spend limits の「By group/tier」タブです。各リクエストはメンバー個人の月間上限とグループのプールの両方に数えられ、先に尽きた方で止まります。ヘルプは、プールを人数で等分すると個人上限を作り直すだけになるため、個人上限は「1人の突出した利用を止める柵」として使うよう勧めています。プールが尽きると、他のプールに残りが無いメンバーは利用が止まり、管理者が引き上げるか翌月のリセットまで待ちます。
※ 出典: Manage pooled group budgets on Enterprise plans(取得 2026-10)
金額の出発点として、ヘルプは「前月のグループ支出の約3倍をプールに、前月の最大利用者の支出の約3倍を個人上限に」という目安を示しています。例として、グループ支出 $1,450・最大利用者 $310 の場合にプール $4,350・個人上限約 $950 が挙げられています。20日より前に75%を使い切る勢いなら50%の引き上げを検討し、引き上げ依頼が続くなら個人上限を上げる、という調整の目安も書かれています。
通知は Billing 権限を持つ管理者に、月額の50%・75%・95%・100%でメールとアプリ内で届きます。利用者側は上限に達すると「Request more」から依頼でき、依頼はグループ名や金額を見せずに管理者の「Review requests」に並びます。プール予算は現時点で Admin API からは設定できず、Organization settings からだけ管理します。
※ 出典: Manage pooled group budgets on Enterprise plans(取得 2026-10)/Smart reports, surveys, and pooled group budgets for Claude Enterprise(取得 2026-10)
API 側の費用は Usage and Cost Analytics API(10月29日ベータ)
スマートレポートが見るのは claude.ai の Enterprise 組織の利用です。自社アプリや自動化から Claude API を呼んでいる分は、2026年10月29日にベータ公開された Usage and Cost Analytics API で取ります。同日のリリースノートで、従来の Usage and Cost API と Claude Enterprise Analytics API のレポート系エンドポイント(usage_report・cost_report・user_usage_report・user_cost_report)は「レガシー・引き続きサポート」になりました。新規の連携はこちらに寄せる設計です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エンドポイント | GET /v1/organizations/analytics/usage(トークン数・リクエスト数)と GET /v1/organizations/analytics/cost(USD の費用) |
| 認証 | Console 組織は Admin API キーか org:admin スコープの OAuth トークン。Enterprise 組織は Primary Owner が claude.ai で作る read:analytics キー |
| 必須ヘッダー | anthropic-beta: analytics-usage-cost-2026-08-24 と anthropic-version |
| 次元 | モデル・製品・ワークスペース・API キー・actor(利用者・サービスアカウント・連携クラウド ID)・サービスティア・RBAC グループなど。group_by は最大5つ |
| 期間 | starting_at は2026年1月1日以降かつ直近365日以内。1リクエストで最大31日。時間バケットは1m・1h・1d で、1m は24時間まで |
| 費用の2本立て | amount は割引後・クレジット適用前、list_amount は定価。金額はセント単位の小数文字列("41280.000000" は $412.80) |
| 鮮度 | 通常は利用から4時間以内、最長24時間。月末から約7日後まで値が修正されうる |
※ 出典: Usage and Cost Analytics API(取得 2026-10)/Claude Platform release notes(取得 2026-10)
経理に渡す確定値は、月末から7日以上経った月だけを対象にするのが公式の勧めです。レート制限は組織単位で、既定は全エンドポイント合計で毎分60リクエストです。Claude Code の利用者別費用は、cost エンドポイントを products[]=claude_code と group_by[]=actor で呼ぶと取れます。
※ 出典: Analytics APIs(取得 2026-10)/Usage and Cost Analytics API(取得 2026-10)
配る前に決める5つのこと
決めること1 — レポートの目的と禁止用途を文書にする
最初に決めるのは「何のために見るか」ではなく「何には使わないか」です。公式が個人の業績評価と雇用上の判断を明確に除外している以上、社内規程にも同じ一文を入れ、レポートの閲覧権限を持つ人の範囲とあわせて配布前に周知します。生成 AI の社内利用ガイドラインに「利用状況の分析」の条項を1つ足す形が、既存の規程と矛盾しにくい方法です。
決めること2 — 個人への帰属をオンにするか
親スイッチはオフのまま始めるのが基本です。つまずきの原因調査などで名前が必要になったときに、誰の判断でオンにし、表示操作の記録を誰が点検するかを先に決めます。オンにする前提で始めると、規程の「評価に使わない」との整合を社員に説明しにくくなります。
決めること3 — SCIM の department と costCenter を送るか
部門別・コストセンター別にレポートを切るには、ID プロバイダーから SCIM で属性を送る必要があります。送る値がそのままラベルになるため、コード体系ではなく表示名を送る設計にします。人事システムの部門名と ID プロバイダーの属性が一致しているかの確認は、情報システムだけでは終わらない作業です。
決めること4 — アンケートを匿名と言わない
回答は CSV でメールアドレス付きになります。社員向けの案内では「回答は自社の管理者が読む」と正確に伝え、匿名を約束しません。個人情報や取引先の情報を回答に書かないよう、カードの文面と社内案内を揃えます。保持期間は組織の設定に従うため、カスタム保持を使っている組織は回答も同じ期間で消えることを前提に集計日程を組みます。
決めること5 — 費用の「定価」と「請求額」を分けて報告する
スマートレポートの費用は定価で計算されます。Usage and Cost Analytics API も amount(割引後)と list_amount(定価)の2本を返します。経営層への報告では、どちらの数字を使っているかを欄外に書き、請求額と突き合わせる月次の手順は API の確定値(月末から7日以上後)で行うと決めておくと、数字の食い違いで報告の信頼を落とさずに済みます。Enterprise の課金が席料と利用量の二層である点は料金ガイドに整理しています。
セルフチェックリスト — 配る前の15項目(所要時間の目安は45分)
A. 前提の確認
- 自社の構成が CMEK・HIPAA・ハイブリッド・ZDR のどれにも当たらないか確認した
- Primary Owner または Owner が Capabilities でスマートレポートをオンにする手順を把握した
- Analytics 閲覧権限を持つロールの一覧を出し、レポートを見られる人を特定した
- チームリーダーへの委任(Analytics と Identity & Access の両権限が必要)を使うか決めた
B. 規程と説明
- 「個人の業績評価・雇用上の判断には使わない」を社内規程に書いた
- 個人への帰属の親スイッチをオフで始めると決めた
- 帰属をオンにする条件と、表示操作の記録を点検する担当を決めた
- アンケートの社内案内に「回答は自社の管理者が読む」と書いた
- 回答に個人情報・取引先情報・規制対象データを書かない注意を入れた
C. データと運用
- SCIM で department・costCenter を送るか、RBAC グループで代用するか決めた
- 月10本の枠の使い方(どの部門をどの頻度で)を決めた
- レポートの共有先と、HTML 保存の保管場所・保管期間を決めた
- API 利用の費用は Usage and Cost Analytics API に寄せ、レガシーの連携を棚卸しした
- 報告に使う費用が定価か請求額かを欄外に書く様式にした
- プール予算を使う場合、Billing 権限の保有者と通知の受け手を決めた
そのまま使えるテンプレ — 社員向け案内文とカスタム質問の例
社員向けの案内は、できることより「使わないこと」を先に書くと受け入れられやすくなります。
件名: Claude の利用状況レポートとアンケートについて
情報システム部です。Claude Enterprise に、チーム単位の利用状況レポートと
短いアンケートの機能が追加されたため、来月から次の方針で使います。
1. レポートは、部門ごとに「どんな作業に使われ、どこでつまずいているか」を
把握し、スキルやルールの整備に使います。
2. 個人の業績評価や人事上の判断には使いません(提供元も同じ方針です)。
3. 個人名の表示は既定でオフにしています。
4. アンケートの回答は、提供元ではなく当部の管理者が読みます。匿名ではないため、
個人情報や取引先の情報は書かないでください。
5. レポートとアンケートの保持期間は、既存のデータ保持の設定に従います。
質問は情報システム部まで。
レポート作成時のカスタム質問は、経営層の問いに直接答える形にしておくと再利用できます。
カスタム質問の例(テンプレートとして保存)
- このセッションの成果物は、社外に提出する文書の下書きか(はい・いいえ)
- このセッションで使われた社内データの種類(分類: 社内文書/顧客データ/公開情報/不明)
- 作業の完了度(尺度: 1 未着手 〜 5 そのまま使える)
カスタムインサイトの例
- 分類: 作業の種類(調査/文書作成/コード/データ整形/その他)
- はい・いいえ: コネクタの不足で止まったか
よくある失敗 5パターン
- 構成を確認せずに経営層へ約束する — CMEK・HIPAA・ハイブリッドの組織はスマートレポートが使えず、ZDR の Claude Code は対象外です。先に自社の構成で何が見えるかを確かめます
- レポートを個人の評価資料にする — 公式が明確に除外している用途です。サンプルに基づく分析でもあり、個人の評価に耐える網羅性はありません
- アンケートを「匿名」と案内する — CSV にはメールアドレスが入ります。後から分かると、以後の回答率と信頼を落とします
- 月10本の枠を初月で使い切る — 待機中・生成中も数に入り、翌月1日までリセットされません。部門と頻度を決めてから作り始めます
- 定価と請求額を混ぜて報告する — スマートレポートは定価、API の amount は割引後です。欄外に基準を書き、確定値は月末から7日以上後の API で取ります
※ 出典: Claude Help Center — Get started with smart reports(取得 2026-10)/Create surveys for your organization(取得 2026-10)/Usage and Cost Analytics API(取得 2026-10)
公式リソース集
| 資料 | 内容 |
|---|---|
| Smart reports, surveys, and pooled group budgets for Claude Enterprise | 2026年10月28日の発表記事。3機能の概要と対象 |
| Claude Help Center — Get started with smart reports | 有効化・作成手順・レポートの項目・帰属・制限トピック・月間の上限 |
| Create surveys for your organization | アンケートの作成・既定質問・表示場所・CSV 書き出し・保持 |
| Manage pooled group budgets on Enterprise plans | プール予算の設定場所・金額の目安・通知・複数グループの優先順 |
| Claude Enterprise consumption guide | 席料と利用量の課金・支出上限の3層・分析画面で見られるもの |
| Usage and Cost Analytics API | API 側の費用を次元別に取る新 API。レガシーからの移行手順 |
| Analytics APIs | 組織の種類ごとに必要な分析 API とキーの種類、レガシーの範囲 |
よくある質問
Q. Team プランでもスマートレポートやアンケートは使えますか?
発表記事とヘルプが対象として挙げているのは Claude Enterprise だけです。Team プランについての記述は取得時点でありません。Team で利用状況を見たい場合は、管理画面の分析機能の範囲で確認し、必要なら Enterprise への移行とあわせて検討します。プランごとの違いはClaude Enterprise・Team 料金完全ガイドに整理しています。
※ 出典: Smart reports, surveys, and pooled group budgets for Claude Enterprise(取得 2026-10)
Q. レポートの生成にはどれくらいかかりますか?
ヘルプは通常「数時間」で、混雑時はさらにかかると説明しています。完了するとメールで通知が届きます。期間は直近28日までなので、月次の報告に使うなら月初に前月分を作るのではなく、月末の数日前に直近28日分を作る運用になります。
※ 出典: Claude Help Center — Get started with smart reports(取得 2026-10)
Q. レポートを見られる人を部門長に広げてもよいですか?
Owner は、Admin でないチームリーダーに自分のグループ分だけレポートを作らせる委任ができます。委任には Analytics と Identity & Access の両方の権限が必要です。広げる前に、帰属の親スイッチの状態と、規程の禁止用途を部門長にも読んでもらうのが順番です。
※ 出典: Claude Help Center — Get started with smart reports(取得 2026-10)
Q. 監査部門に渡す記録とは何が違いますか?
スマートレポートは集計と要約で、個別の操作や会話本文を監査目的で取り出すものではありません。利用者の個別の行動や会話本文は Compliance API の範囲で、使い分けはClaude の利用記録を監査部門に渡すに整理しています。Analytics APIs のページも、ガバナンスと監査の用途は Compliance API を見るよう案内しています。
※ 出典: Analytics APIs(取得 2026-10)
次の一歩
まず、Organization settings > Capabilities の Analytics 欄を開き、スマートレポートと「Allow attribution to individual users」の現在の状態を記録してください。次に、自社の構成が CMEK・HIPAA・ハイブリッド・ZDR のどれかに当たるかを契約書と設定で確かめます。この2つが分かれば、経営層に「いつ、何の範囲で、どの数字を示せるか」を具体的に答えられます。
Claude の法人導入全体の経路や、管理者が最初に決める設定はClaude 導入支援のハブで整理しています。自社のプラン・部門構成・ID プロバイダーの設定を前提に、レポートの運用設計、規程への追記、API 側の費用集計の組み方まで含めて相談したい場合は、現在の構成と知りたい数字を書き添えてお問い合わせください。公式ドキュメントに照らして、設定の順番と判断材料を書面で整理してお返しします。契約を前提とせずご相談いただけます。
更新履歴
- 2026-10-30: 初版公開
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