結論先出し: Microsoft Clarity と Hotjar はどう選ぶ?

結論から言います。中小サイト・個人事業主・コストを抑えたい企業には Microsoft Clarity が最初の選択肢です。完全無料・セッション無制限・ヒートマップとセッション録画が即日使える。この3点で Clarity は圧倒的なコスト優位を持ちます。

Hotjar は無料プランもありますが、記録できるセッションは1日35件まで(2024年時点の Free プラン)。月間数千セッション以上のサイトで実態を把握しようとすると、すぐに有料プラン($32/月〜)が必要になります。ユーザーアンケート・フィードバックウィジェット・ファネル分析まで含めた多機能性が必要なチームには Hotjar の優位性があります。

ただし、最も重要な共通点があります。 Clarity も Hotjar も、「ユーザーが何をしているかを見せる観察ツール」です。「どのコピーに書き換えればCVRが上がるか」という処方箋は、どちらも出しません。このギャップを埋めるステップについては記事末尾で触れます。

短い判断ルール:

  • Clarity を選ぶべき人: 月間セッションが多い中小サイト・予算がない・とにかく即日スタートしたい場合
  • Hotjar を選ぶべき人: ユーザーアンケートや離脱理由の定性データも集めたい・CRO専任担当がいるチーム
  • 両方併用すべき人: Clarity で量的観察を続けながら、Hotjar の無料プランでスポットのアンケートを実施したい場合

それぞれの本質

Microsoft Clarity (無料) とは

Microsoft が提供する完全無料のヒートマップ・セッション録画ツールです(公式サイト)。2020年にリリースされ、記録セッション数に上限なし・データ保持期間90日・広告なしという破格の無料提供が特徴です。

強み: セッション録画・クリックヒートマップ・スクロールヒートマップを無制限で利用できます。「デッドクリック(リンクでない箇所を押している)」「レイジクリック(同じ箇所を連打)」「過剰スクロール」といった異常行動を自動検知して Insights としてフラグ表示します。GA4 との連携も可能で、コンバージョンセグメントごとのセッション録画絞り込みができます。UI はシンプルで、導入から録画確認まで1時間以内に完了するケースが多いです。

弱み: ユーザーアンケート・フィードバックウィジェット・ファネル分析・A/Bテスト機能はありません。観察データはあくまで行動の記録であり、「なぜそうしたのか」という意図は拾えません。データはMicrosoftのサーバーに保存されるため、個人情報取り扱いに厳格な業種では利用規約の確認が必要です。


Hotjar (有料含む) とは

2014年創業のCRO(コンバージョン率最適化)向けSaaSで、現在はContentsquareグループに属します(公式サイト)。ヒートマップ・セッション録画に加え、アンケート(Survey)・フィードバックウィジェット・ユーザーインタビュー招待・ファネル分析まで備えた多機能ツールです。

強み: 「ユーザーが何をしているか(定量)」と「なぜそうしているか(定性)」を1ツールで収集できます。ページ上にアンケートをポップアップ表示し、特定ページの離脱時に「今日のご訪問の目的は達成できましたか?」といった設問を自動出しできます。Funnel分析でステップ別の離脱率を可視化でき、改善優先度の判断材料が揃います。

弱み: 実用レベルで使おうとすると有料プランが必要になるケースが多く、月$32〜のコストが発生します(プラン詳細)。機能が多い分、習熟に時間がかかります。Clarity のような自動 Insights 検知はなく、ユーザー自身が分析の切り口を設計する必要があります。


比較表 — 主要軸で並べる

比較軸Microsoft Clarity (無料)Hotjar (有料含む)
価格完全無料・無制限無料プラン(35セッション/日)、有料 $32/月〜
セッション録画無制限無料は35件/日、有料プランで拡張
ヒートマップクリック・スクロール・エリアクリック・スクロール・移動
自動 Insightsあり(デッドクリック・レイジクリック等)なし(手動分析)
アンケート機能なしあり(無料プランに一部含む)
フィードバックウィジェットなしあり
ファネル分析なしあり(有料プラン)
GA4 連携ありあり
導入難易度低い(タグ1行)低い(タグ1行)
データ保持期間90日プランによる(無料は365日)
対象ユーザー中小企業・個人・スタートアップCRO専任担当がいるチーム・マーケ部門

ケース別: あなたはどちらを選ぶべきか

ケース1: 月間1,000〜1万セッションの中小サイトでCVRを改善したい

Clarity を推奨。Hotjar の無料プランでは1日35件のセッションしか録画できないため、月間5,000セッションのサイトでは実際に計測できるのは全体の2割以下に留まります。Clarity ならすべてのセッションを録画対象にでき、問い合わせページや商品ページの離脱行動を漏れなく把握できます。コストゼロで始められる点も、リソースが限られた中小企業に直結するメリットです。

ケース2: ECサイトのカート離脱原因を深掘りしたい

Hotjar の有料プランを推奨。カートページでの離脱時にアンケートをポップアップ表示し、「送料が高い」「決済方法がない」「不安を感じた」など定性的な離脱理由を直接収集できます。ファネル分析と組み合わせることで「どのステップで何%が離脱しているか」が数値化され、改善仮説の根拠が揃います。この組み合わせは Clarity では代替できません。

ケース3: まずツールを試してから本格導入を判断したい

Clarity を先行して推奨。タグ1行を追加するだけで翌日から録画とヒートマップが確認できます。導入コストゼロで「自分のサイトでユーザーがどう動いているか」を体験してから、定性データやアンケートの必要性を判断してください。多くの中小サイトは Clarity だけで改善の糸口を発見できます。必要になったタイミングで Hotjar の有料プランを検討する順序が合理的です。


併用する場合の設計

Clarity と Hotjar の無料プランを同時に運用する構成は技術的に問題ありません。両方のタグを設置しても表示速度への影響は軽微です(ただしCore Web Vitals への影響を GTmetrix 等で確認することを推奨します)。

実用的な役割分担は「Clarity で量的観察を常時収集、Hotjar で季節・施策タイミングのスポットアンケートを実施」というパターンです。例えばリニューアル直後に「新しいサイトで目的の情報は見つかりましたか?」という Hotjar アンケートを2週間限定で設置し、ユーザーの声を収集する。普段のセッション録画とヒートマップは Clarity が担当する、という分業です。


よくある誤解

誤解1: 「Clarity は無料だから精度が低い」

Clarity のデータ収集精度は有料ツールと比較して遜色ありません。Microsoftが自社の広告・Bing エコシステムのために本格投資して開発したツールであり、精度よりも「機能の範囲」で Hotjar と差があります。無料だから手を抜いているわけではありません。

誤解2: 「ヒートマップを見れば何を直すべきかわかる」

これが最も注意が必要な誤解です。ヒートマップとセッション録画は「ユーザーが何をしているか」を見せますが、「何をどう書き換えるとCVRが上がるか」は教えません。「CTAボタンのクリック率が低い」とわかっても、ボタンの色を変えるべきか、コピーを変えるべきか、そもそもページ構成を変えるべきかは、観察データだけでは判断できません。観察の次に「処方箋」のステップが必要です。


よくある質問

Q1. コストはどちらが安い?

Clarity は完全無料で、セッション数・機能に上限がありません。Hotjar は無料プランが存在しますが、1日35セッションの制限があり、実用的な分析には月 $32〜 の有料プランが必要になるケースがほとんどです。コスト最小化が優先なら Clarity 一択です。

Q2. 始めるならどっちが早い?

どちらもタグ1行の設置で即日スタートできます。アカウント作成から最初のセッション録画確認まで、両方とも30分以内に完了します。管理画面の直感性は Clarity の方がやや高く、初めてヒートマップツールを触る担当者でも迷いにくいです。

Q3. 両方やる場合の優先順位は?

まず Clarity を設置してデータを蓄積してください。1〜2週間分の録画とヒートマップを確認し、改善候補ページを絞り込んでから、そのページで Hotjar のアンケートを設置する順序が効率的です。最初から両方を全力で使おうとすると、分析工数が倍になります。

Q4. 将来性はどちらがあるか?

Clarity は Microsoft が継続投資しており、Copilot との統合(AI によるセッション要約など)が 2024〜2025年にかけて強化されています(Clarity ブログ)。Hotjar は Contentsquare グループ傘下でエンタープライズ向け機能強化が続いています。中小企業目線では Clarity の無料継続が確約されている限り、コスト面での将来リスクは低いと言えます。


観察から処方箋へ — Tufe CVR Rewrite Report

Clarity でも Hotjar でも、「ここのCTAが押されていない」「このセクションで多くの人がスクロールを止めている」という事実は把握できます。しかし**「では何をどう書き換えるか」という処方箋は、どちらのツールも出しません**。

この「観察 → 処方箋」のギャップを埋めるのが、Tufe Company の CVR Rewrite Report(¥2,980) です。

ステップの全体像:

  1. 観察(Clarity/Hotjar) — ユーザーが何をしているかを録画・ヒートマップで把握
  2. 診断(CVR Rewrite Report) — 離脱・非クリックの原因をコピー・構成・心理ハードルの観点で特定
  3. 処方箋(レポート納品) — 「このセクションのコピーをこう書き換える」「CTAの位置をここに移す」という具体的改善案を提示
  4. 実装(Webサイト制作サービス — 改善案をサイトに反映し、再度 Clarity でビフォーアフターを確認

CVR Rewrite Report は Clarity のデータ(スクリーンショット・録画URL)を共有いただくだけで作成できます。ツールは持っているが「次に何をすればいいかわからない」という段階で最もコスパが高い選択肢として設計しています。

詳細と購入: CVR Rewrite Report — ¥2,980

関連リソース:


まとめ: 決定のためのチェックリスト

  • 月間セッション数を確認し、Hotjar 無料プランの35件/日制限で十分かどうかを判断した
  • Microsoft Clarity のタグをサイトに設置し、セッション録画が取得できている
  • ヒートマップで「スクロールが止まるポイント」と「クリックが集中するエリア」を把握した
  • セッション録画でフォームや購入ページの離脱行動を1週間分確認した
  • 観察データをもとに「どこを改善するか」の優先ページを1〜2本に絞り込んだ
  • 「何をどう書き換えるか」の処方箋フェーズに進む準備が整っている

観察データの読み方や改善コピーの方向性に迷ったら、無料相談 で御社のサイト状況に合わせた改善ステップをご提案します。