Google マップの口コミを増やしたい。ただ「お願いの仕方」を一歩間違えると、景品表示法の措置命令か、Google によるプロフィールの制限のどちらかを受けます。この二つはルールの出どころも、禁止される範囲も、罰の形も違います。片方だけ守っても安全にはなりません。
この記事は、消費者庁の告示・運用基準・Q&A と、Google のクチコミに関するポリシーとヘルプを一次資料で読み、口コミ依頼のパターンごとに「どちらのルールに触れるか」を判定表にしました。Google マップの星評価を条件に割引を伝えて措置命令を受けた実例も、公表資料から整理しています。店舗・クリニック・士業事務所の担当者と、MEO 対策を外注しようとしている経営者に向けて書いています。
結論 — 先に要点だけ
- ルールは二層ある。 景品表示法のステマ規制(消費者庁)と、Google マップのコンテンツポリシー(Google)は別の規則で、Google の方が禁止範囲が広い。
- 「口コミを書いたら割引」は消費者庁の Q&A では通常セーフ、Google では禁止。 Google はクチコミと引き換えのインセンティブ(金銭、割引、無料の商品やサービス)を明確に禁じている。
- 「星5を付けたら割引」は両方アウト。 評価の内容を店側が決めた瞬間に「事業者の表示」となり、広告と明示しなければ告示違反。Google マップの星評価を条件にしたクリニックと歯科に、それぞれ措置命令が出ている。
- 処分を受けるのは業者ではなく店舗。 ステマ規制の対象は商品・サービスを供給する事業者(広告主)だけで、依頼を受けたインフルエンサーや代行業者は対象外。Google の制限もプロフィールに掛かる。
- 医療機関はさらに医療広告等ガイドラインが重なる。 治療の内容や効果に関する体験談は医療広告として認められず、口コミサイトからの転載も禁止事例に挙がっている。
二つのルールは別物 — 守備範囲と罰の違い
最初に、混同されやすい二つの規則を並べます。景品表示法は「広告なのに広告と分からない表示」を規制し、Google のポリシーは「実体験に基づかない、または対価で誘導された投稿」を禁止します。禁止の理由が違うため、片方でセーフでももう片方でアウトになる組み合わせが生まれます。
| 観点 | 景品表示法(ステマ規制) | Google マップのコンテンツポリシー |
|---|---|---|
| 規制の主体 | 消費者庁・都道府県 | |
| 何を問題にするか | 事業者の表示なのに、一般消費者が事業者の表示と判別できないこと | 実体験に基づかない投稿、インセンティブで誘導された投稿、評価の操作 |
| 対象者 | 商品・サービスを供給する事業者(広告主)。依頼を受けた第三者は対象外 | 投稿者と販売者(ビジネスオーナー)の両方 |
| 制裁 | 措置命令(差止め、周知徹底、再発防止策)。違反のおそれの段階では指導 | 投稿の削除、プロフィールの制限(新規クチコミの停止、既存クチコミの非公開、警告表示) |
| 施行・根拠 | 令和5年10月1日施行の内閣府告示第19号 | 禁止および制限されているコンテンツ、ビジネスプロフィールの制限ポリシー |
※ 出典: 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」(取得 2026-09)/消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」Q1・Q2(取得 2026-09)
※ 出典: Google マップ ユーザー投稿コンテンツ「禁止または制限されているコンテンツ」(取得 2026-09)/Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ポリシー違反によるビジネス プロフィールの制限」(取得 2026-09)
消費者庁の Q&A(Q2)によれば、ステマ告示違反に対しては措置命令が行われ、課徴金納付命令の対象にはなりません。ただし違反行為に優良誤認や有利誤認が含まれる場合は課徴金の対象になり得ます。措置命令に至らない「違反のおそれ」の段階でも、行政指導が行われます。
ステマ規制の仕組み — 「事業者の表示」に当たるかが分かれ目
告示の条文は短く、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」を不当表示と定めています。判断は二段階です。第一に、その口コミが「事業者の表示」に当たるか。第二に、当たるとして、広告であることが明瞭になっているか。
※ 出典: 消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年3月28日内閣府告示第19号)PDF(取得 2026-09)
第三者の投稿が「事業者の表示」になるのは、事業者が表示内容の決定に関与している場合です。運用基準は、明示的な依頼や指示がなくても、やり取りの内容、対価の内容と提供理由、過去と今後の取引関係などを総合して、第三者の自主的な意思による内容と認められなければ事業者の表示になるとしています。対価は金銭や物品に限らず、イベント招待のようなきょう応を含む「対価性を有する一切のもの」です。
一方で、事業者が関与しても自主的な投稿と認められる例も運用基準に列挙されています。EC サイトのレビュー投稿への謝礼として次回割引クーポンを配る場合でも、投稿内容について情報のやり取りが一切なく、購入者が自主的に内容を決めたと認められれば事業者の表示にはなりません。逆に、他の事業者に依頼して競合の商品を低く評価する口コミを投稿させる行為は、事業者の表示の例として明記されています。
※ 出典: 消費者庁「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」PDF(取得 2026-09)
事業者の表示に当たる場合は、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」などの表記か、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章で、一般消費者に明瞭に分かるようにする必要があります。Q&A(Q11・Q12)は、これ以外の言い方も認める一方で、「私は○○社の社員です」と所属を書くだけでは明瞭とは言えないとしています。
口コミ依頼のパターン別判定表 — 消費者庁 Q&A と Google ポリシーを並べる
実務で迷う場面を、両方のルールに当てはめました。「景品表示法」列は消費者庁の Q&A と運用基準の記述、「Google」列はマップのコンテンツポリシーとビジネスプロフィールのヘルプの記述です。判定は各資料の一般的な考え方で、最終的な判断は個別の事情によります。
| 依頼のパターン | 景品表示法(ステマ規制) | Google のポリシー |
|---|---|---|
| 会計時に「よろしければ口コミをお願いします」と伝える。対価なし・内容の指示なし | 事業者の表示に当たらない(自主的な投稿) | 許可。インセンティブなしで実体験に基づく投稿を促す行為は認められている |
| クチコミ用リンク・QR コードを領収書やお礼メールに載せる | 同上 | 許可。ヘルプが推奨している方法 |
| 口コミを書くことを条件に割引やクーポンを渡す。内容や星の指定なし | Q6・Q7 は「通常、事業者の表示に当たらず違反しない」 | 禁止。クチコミと引き換えのインセンティブ(割引、無料の商品やサービス)は虚偽のエンゲージメント |
| 星5を付けることを条件に割引を渡す | 違反。Q6 は星5を条件とすれば事業者の表示に当たり、明瞭化がなければ告示違反 | 禁止。評価の操作 |
| 品質や価格を推奨するコメントを書くことを条件にする | 違反。Q6 は「星5」と同様に扱うと明記 | 禁止。特定のコンテンツを含めるよう依頼することはできない |
| その場でスマホを渡して投稿を促す | Q&A に直接の記述なし。内容に関与すれば事業者の表示 | 禁止。その場で評価やクチコミを残すことを要求・強要する行為 |
| 満足した客だけに依頼画面を出し、不満な客はアンケートに流す | Q&A に直接の記述なし | 禁止。否定的なクチコミを妨げ、肯定的なクチコミを選択的に募る行為 |
| 事実と異なる記載(存在しない性能など)の修正を依頼する | 事業者の表示に当たらない(Q9) | 記述なし。ポリシー違反の口コミは報告で対応 |
| 感想を自社に都合よく書き直すよう依頼する | 違反。修正後の投稿は事業者の表示(Q9) | 禁止。インセンティブと引き換えの修正・削除依頼は評価の操作 |
| 良い口コミだけを抜粋して自社サイトの「お客様の声」に載せる | 違反。恣意的な抽出は事業者の表示(Q10) | マップ外の掲載はポリシーの対象外 |
| 従業員や家族が個人アカウントで投稿する | 販売促進の立場にある者の投稿は事業者の表示に当たり得る(Q3) | 禁止。雇用関係や家族関係は利益相反 |
| スタッフに「月○件の口コミを集める」ノルマを課す | Q&A に直接の記述なし | 禁止。一定数のクチコミを募るようスタッフに要求する行為 |
※ 出典: 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」Q3・Q6・Q7・Q9・Q10(取得 2026-09)/Google マップ「禁止または制限されているコンテンツ」虚偽のエンゲージメント・評価の操作(取得 2026-09)/Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」(取得 2026-09)
表の三行目が、この記事でいちばん伝えたい点です。「口コミを書いたら割引」は、消費者庁の Q&A を読む限り通常は告示違反になりません。しかし Google のヘルプは「クチコミの投稿、クチコミの変更、否定的なクチコミの削除と引き換えに、無料または割引価格で商品やサービスを提供する」行為を虚偽のエンゲージメントとして固く禁じています。法律の解説だけを読んで「割引ならセーフ」と判断すると、Google の制限を受けます。
措置命令の実例 — Google マップの星評価で処分された2件
消費者庁の公表資料で確認できた範囲では、Google マップの口コミ欄そのものが対象になった措置命令は2026年9月時点で二件です。どちらも医療機関で、どちらも「星5(または星4)を条件に、来院者に割引やギフトカードを伝えた」という構図です。
| 事業者 | 措置命令日 | 表示箇所 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 医療法人社団祐真会(マチノマ大森内科クリニック) | 令和6年6月6日 | Google マップのプロフィール内の口コミ投稿欄 | インフルエンザワクチン接種の来院者に、星5または星4の投稿を条件に接種費用から割り引くことを伝えた。投稿された星評価は事業者の表示に当たり、広告と判別できない |
| 医療法人社団スマイルスクエア(スマイル+さくらい歯列矯正歯科二子玉川) | 令和7年3月17日 | 同上 | 来院者に、星5と感想の投稿または星5の投稿を条件に、5,000円分の QUO カードの提供、または治療費の総額から5,000円の割引を伝えた |
※ 出典: 消費者庁「医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について」・公表資料 PDF(取得 2026-09)/消費者庁「医療法人社団スマイルスクエアに対する景品表示法に基づく措置命令について」・公表資料 PDF(取得 2026-09)
命令の内容は共通しています。違反の周知徹底、再発防止策を講じて役員・従業員・医療従事者に周知すること、今後同様の表示を行わないことです。祐真会の事例では、表示をしている行為を速やかに取りやめることも命じられました。公表資料には投稿アカウントごとの表示期間が別表として並び、Google マップの口コミが「表示」として個別に特定されています。
Google マップ以外でも、口コミ・SNS 投稿の扱いで措置命令が出ています。店舗の集客に関わる担当者が知っておくべき三件を挙げます。
- RIZAP 株式会社(令和6年8月8日): 対価の提供を条件に Instagram 投稿を依頼し、依頼した投稿であることを明らかにせず「SNS でも話題!絶賛の口コミ続々」として自社サイトに抜粋した。投稿に「※個人の感想です。」の表記があっても、事業者の表示であることが明瞭とは認められなかった。
- ロート製薬株式会社(令和7年3月): モニター募集サイトを通じて商品を無償提供し、方針に沿った Instagram 投稿を依頼。その画像を「“わたしも”使っています from Instagram」として自社サイトに掲載した。
- 東京都による措置命令(令和7年3月28日): 通信販売事業者が、仲介事業者を経由してインフルエンサーに対価を条件に投稿を依頼し、依頼した投稿であることを明らかにせず自社サイトに抜粋した。ステマ告示に該当する広告への措置命令は地方自治体で初。
※ 出典: 消費者庁「RIZAP株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(取得 2026-09)/消費者庁「ロート製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(取得 2026-09)/東京都「景品表示法に基づく措置命令」(令和7年3月28日)(取得 2026-09)
共通する教訓は「依頼して書いてもらった投稿を、自主的な声のように見せた」点です。口コミサイトの投稿でも、自社サイトへの転載でも、「事業者の表示」であれば明示が要ります。
Google 側の制裁 — ポリシー違反によるプロフィールの制限
Google は、虚偽のエンゲージメントに関するポリシーに違反した事業者に対し、違反したクチコミの削除に加えて、ビジネスプロフィールに制限を課すことがあると明記しています。ヘルプに挙げられている制限は次のとおりです。
- 一定期間、新しいクチコミや評価を受け取れなくなる
- 一定期間、既存のクチコミや評価が非公開になる
- 虚偽のクチコミが削除されたことを消費者に知らせる警告がプロフィールに表示される
制限を適用する予定がある場合はビジネスオーナーにメールで通知され、事業者は再審査を請求できます。措置命令が「周知徹底」を命じるのに対し、Google の制限は店舗の集客面に直接効きます。クチコミが一定期間止まり、既存の評価が見えなくなれば、検索結果とマップでの見え方がそのまま変わります。
※ 出典: Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ポリシー違反によるビジネス プロフィールの制限」(取得 2026-09)
逆に、店舗側が被害を受ける場面の手順もヘルプにあります。ポリシー違反の口コミは、プロフィールの「クチコミを読む」から報告でき、評価には通常数日かかります。削除に該当しないと判断された場合は、クチコミ管理ツールから1回限りの再審査請求ができ、選べるクチコミは10件までです。低評価の口コミが急増し、削除と引き換えに金銭や便宜を要求される「恐喝詐欺」は別のフォームで報告します。ヘルプは、要求に応じて支払わないこと、証拠を直ちに収集することを求めています。
※ 出典: Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」(取得 2026-09)/同「ビジネス プロフィールでの否定的なクチコミによる恐喝詐欺を報告する」(取得 2026-09)
医療機関は三重の規制 — 医療広告等ガイドラインの体験談ルール
クリニック・歯科・整骨院などは、上の二つに加えて医療法の広告規制が重なります。医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)は、治療等の内容や効果に関して、患者自身の体験や家族からの伝聞に基づく主観的な体験談を、医療機関への誘引を目的として紹介することを医療広告として認めていません。体験談の記述内容が広告可能な範囲であっても、広告は認められないとしています。
一方で、個人のウェブサイト、SNS の個人ページ、第三者が運営する口コミサイトへの体験談の掲載は、医療機関が広告料などの費用負担といった便宜を図って掲載を依頼するなどの誘引性が認められない場合は、広告に該当しません。つまり、患者が自主的に書いた Google の口コミそのものは医療広告ではなく、医療機関が対価や依頼で関与した瞬間に広告性が生まれます。
※ 出典: 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」PDF 第3-1 1(6)(取得 2026-09)/厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」(取得 2026-09)
厚生労働省の「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」は、口コミサイトの口コミを自院サイトに転載する表現を禁止事例として掲げ、医療機関に便益を与える感想を取捨選択して掲載し強調することは虚偽・誇大に当たるとしています。Google の口コミを「患者様の声」として自院サイトに並べる運用は、この事例にそのまま該当します。
※ 出典: 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」PDF 事例(17)(取得 2026-09)
セルフチェックリスト — 口コミ運用を始める前の15項目
印刷して、店長・院長・MEO 担当者・外注先の四者で確認してください。「いいえ」が一つでもあれば、その運用は止めて見直します。
依頼の仕方
- 口コミの依頼に、割引・無料サービス・ギフトカード・ポイントなどの対価を付けていない
- 星の数を指定していない(「星5で」「高評価で」を口頭でも言っていない)
- 書いてほしい内容(「○○が良かったと書いて」)を指定していない
- その場でスマホを渡して投稿を促していない
- 依頼用のリンク・QR コードは全客に同じ条件で案内している
選別と修正
- 満足した客だけに投稿画面を出し、不満な客を別の窓口に流す仕組みを使っていない
- 投稿後に「書き直してほしい」と頼んでいない(事実誤りの訂正依頼を除く)
- 否定的な口コミの削除を条件に何かを提供していない
関係者の投稿
- 従業員・役員・家族・取引先に投稿を頼んでいない
- スタッフに口コミの件数目標を課していない
- 口コミ代行や「口コミ購入」の業者を使っていない
自社サイトへの転載
- Google の口コミを自社サイトに載せる場合、良いものだけを選んで載せていない
- 依頼して書いてもらった投稿を「お客様の声」として載せていない
- 医療機関の場合、治療の内容や効果に関する体験談を自院サイトに載せていない
体制
- 外注先との契約書に、上の項目を守る旨と違反時の責任を書いている
※ 出典: 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」(取得 2026-09)/Google マップ「禁止または制限されているコンテンツ」(取得 2026-09)。各項目の根拠は前掲の判定表を参照してください
そのまま使えるテンプレ — 依頼文・スタッフ向けルール・返信文
三つのテンプレを置きます。どれも「対価なし・内容の指定なし・全客に同じ案内」を守る形です。店舗名や業種に合わせて書き換えてください。
1. 会計時・お礼メールの依頼文
本日はご来店ありがとうございました。
よろしければ、Google でのご感想をお聞かせください。
良かった点も、気になった点も、そのままお書きいただけると今後の参考になります。
(クチコミ用リンク/QR コード)
「良かった点も、気になった点も」の一文が、肯定的な口コミだけを選択的に募る行為に当たらないための線です。Google のヘルプは、クチコミ用リンクを領収書、感謝メール、チャットの最後、店舗掲示に載せる方法を挙げています。
※ 出典: Google ビジネス プロフィール ヘルプ「リンクまたは QR コードを作成してクチコミをリクエストする」(取得 2026-09)
2. スタッフ向けの口コミルール(掲示用)
口コミのお願いで、してよいこと・してはいけないこと
してよいこと
・会計時に「よろしければ Google で感想をお聞かせください」と伝える
・リンク・QR コードを渡す(全員に同じものを)
・投稿があったら、店の公式アカウントから返信する
してはいけないこと
・割引、無料サービス、プレゼントと引き換えに口コミを頼む
・星の数や書く内容を指定する
・その場でスマホを渡して投稿してもらう
・自分や家族、友人のアカウントで投稿する
・不満そうなお客様にだけ口コミを頼まない、という使い分けをする
・投稿の書き直しや削除を頼む(事実の誤りは店長に相談)
3. 否定的な口コミへの返信文
ご来店とご意見をありがとうございます。
ご期待に沿えなかった点についてお詫び申し上げます。
いただいた内容は店内で共有し、(改善する項目)を見直します。
詳しい状況をお聞かせいただける場合は、店舗までご連絡ください。
Google のヒントは、返信は簡潔にすること、投稿者の個人情報を公開したり個人的に攻撃したりしないこと、自分たちに非がない点まで責任を負わず対応できることとできないことを説明することを挙げています。返信は公開され、企業からの返信として表示されます。
※ 出典: Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」否定的なクチコミに有益な回答を返す(取得 2026-09)/同「ユーザーからのクチコミを管理する」(取得 2026-09)
返信文の下書きは、口コミ返信文ジェネレーターでも作れます。文面は必ず店側で読み、事実と違う約束が入っていないか確かめてから投稿してください。
MEO 業者に契約前に確認する質問 — 8項目
処分や制限を受けるのは業者ではなく、あなたの店舗です。「口コミを増やします」と提案する業者には、次を書面で確認してください。
| 質問 | 安全な答え | 危険な答え |
|---|---|---|
| 口コミを増やす方法は具体的に何か | 依頼文・QR コード・返信の運用設計 | 「弊社のネットワークで投稿します」 |
| 投稿者に対価を渡すか | 渡さない | 「モニター謝礼」「ポイント付与」 |
| 星や内容を指定するか | しない | 「高評価を集めます」 |
| 否定的な口コミへの対応は | 返信と、ポリシー違反の報告 | 「削除します」「埋めます」 |
| 従業員や関係者の投稿を使うか | 使わない | 「初期の口コミは弊社で」 |
| 自社サイトへの転載はどうするか | 抜粋しない、または依頼したものと明示 | 「良い口コミを選んで載せます」 |
| 医療機関の場合、医療広告等ガイドラインを踏まえた運用か | 体験談を載せない設計 | 「患者様の声を充実させます」 |
| 違反時の責任と解約条件は | 契約書に明記 | 口頭のみ |
「削除します」と言う業者には、Google が事業者とユーザー間の紛争には関与せず、削除対象はポリシー違反のクチコミだけである点を確認してください。削除を約束できる仕組みは存在しません。
※ 出典: Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」(取得 2026-09)
事業者側の管理体制については、消費者庁の「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」(令和6年4月18日改正)が、関係従業員への教育・研修、外部からの相談や情報提供を受け付ける窓口の設置、アフィリエイターなど表示の作成を委ねた相手に関係性の明示を求めることなどを挙げています。外注先に口コミ運用を委ねる場合も、この指針の考え方をそのまま契約に落とせます。
※ 出典: 消費者庁「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」PDF(令和6年4月18日改正)(取得 2026-09)
よくある失敗 5パターン
- 法律の解説だけ読んで「割引ならセーフ」と判断する。 消費者庁の Q&A ではそうでも、Google のポリシーでは禁止。プロフィールの制限を受けてから気づく。
- 「満足度アンケート」の後に、高評価の人だけ Google に誘導する。 一見スマートだが、肯定的なクチコミを選択的に募る行為としてポリシー違反。
- 開業直後に身内で口コミを埋める。 利益相反として削除対象になり、景品表示法でも事業者の表示に当たり得る。後から消えて「口コミが減った」状態になる。
- Google の口コミを自社サイトの「お客様の声」に転載する。 良いものだけ選べばステマ規制に、医療機関なら医療広告等ガイドラインにも触れる。
- 業者任せにして、契約書に何も書いていない。 処分の宛先は店舗。「知らなかった」は再発防止策の周知徹底命令を軽くしない。
公的リソース集
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」 — 告示・運用基準・ガイドブックへの入口
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」 — 口コミ・クーポン・従業員投稿の具体例
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関する景品表示法違反被疑情報提供フォーム」 — 競合の違反を見つけたときの通報先
- 消費者庁「景品表示法関連報道発表資料」 — 措置命令の一覧(年度別)
- Google マップ「禁止または制限されているコンテンツ」 — 虚偽のエンゲージメント・評価の操作の定義
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」 — 依頼と返信のベストプラクティス
- 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」 — 医療広告等ガイドライン・Q&A・事例解説書
よくある質問
Q. 口コミを書いてくれたお客様に次回使えるクーポンを渡すのは違法ですか?
景品表示法のステマ規制では、投稿の内容に指示がなく割引程度の対価なら、消費者庁の Q&A(Q6・Q7)は通常「事業者の表示」に当たらないとしています。ただし Google のポリシーはクチコミと引き換えのインセンティブを禁止しており、Google マップの口コミにこの方法を使うとプロフィールの制限を受けるおそれがあります。Google 以外の予約サイトや EC のレビューでも、各プラットフォームの規約を先に確認してください。
Q. 星5を付けてくれたら割引、はなぜ違反になるのですか?
評価の内容を事業者が決めていると評価されるためです。消費者庁の Q&A は、星5を条件にした口コミは事業者の表示に当たり、広告であることを明瞭にしなければ告示違反になると示しています。実際に Google マップの星評価を条件に割引を伝えたクリニックと歯科に措置命令が出ています。「星5」ではなく「おすすめと書いてください」のような推奨コメントの指定でも同じ扱いです。
Q. MEO 対策会社から「口コミを増やすキャンペーン」を提案されました。何を確認すべきですか?
対価の有無、投稿内容や星の指定の有無、否定的な口コミを書きにくくする仕組みの有無、従業員や関係者による投稿の有無の四点です。いずれかが「はい」なら、景品表示法か Google のポリシーのどちらかに触れる可能性が高く、処分や制限を受けるのは業者ではなく店舗側です。本文の「MEO 業者に契約前に確認する質問」の表を、そのまま書面の質問票にしてください。
Q. 従業員が個人アカウントで自社の口コミを書くのは問題ですか?
Google のポリシーは、現在または過去の雇用関係を利益相反として禁止しています。景品表示法でも、販売を促進する立場の役員や管理職などが行う投稿は事業者の表示に当たり得ると Q&A(Q3)が示しています。社内ルールで禁止し、家族や取引先にも頼まないと決めておくのが安全です。
Q. クリニックの Google 口コミを自院サイトに転載してもよいですか?
医療広告等ガイドラインは治療の内容や効果に関する患者の体験談を医療広告として認めていません。厚生労働省の事例解説書は口コミサイトからの転載を禁止事例として挙げています。ステマ規制でも、良い口コミだけを抜粋して掲載すれば事業者の表示に当たります。院内の待合に「Google で感想をお聞かせください」と掲示し、口コミは Google 上に置いたままにする運用が現実的です。
次の一歩
まず、チェックリストの1〜3(対価・星の指定・内容の指定)を今日の営業から止めてください。次に、スタッフ向けルールを印刷してバックヤードに貼り、依頼文と QR コードを全客共通の形に揃えます。外注している場合は、業者への8つの質問を書面で送り、回答を契約書に反映します。
自店のプロフィールがどう見えているかは、MEO クイックチェックで確認できます。口コミの依頼設計、返信の運用、業者との契約の見直しまで含めて相談したい場合は、店舗名と今の依頼方法を書き添えてお問い合わせください。MEO の全体像はMEO 対策に、地域ビジネス向けの支援内容は地域密着ビジネス支援にまとめています。
更新履歴
- 2026-09-27: 初版公開